河川争奪と風隙(River Piracy & Wind Gap)について
河川争奪と風隙
  • 「谷頭侵食」力の大きな川の谷頭(河の先頭)が,他の川の河道(流路)に達してその上流の水を奪うことを「河川争奪」と言います。
  • 別の川に上流の水を奪われると,下流には川水が来なくなるので干上がります。 この干上がった場所を「風隙」と言います。
河川争奪と風隙について(想定図)

河川争奪前」,「河川争奪直後」と「河川争奪してから相当程度時間が経過した時」のイメージです。
  • 争奪前,「河川C」は,高原状の所をゆったりと流れていました(緩傾斜)。 侵食は,「下刻侵食」から「側方侵食」の段階に移行しており,谷幅が広くなっていました。
  • 「本流A」は,低い場所を流れていました。 ある時,河川Cの近くから河川Cに向かって「支流B」が発達を開始しました。
  • 支流Bの草創期,急傾斜の斜面に発生した「ガリ侵食」でしたが,やがて豪雨の度に侵食力を発揮して「谷頭侵食」へと発展し,急速に斜面の上方に向かって進み始めました。 滝の後退と同じ原理です。
  • 支流Bの谷頭が河川Cに達すると,河川C(上流)の川水は全て支流Bに流れ込むようになり,争奪場所から河川Cの下流には水が来なくなりました。河川Cの下流側を「風隙」と言います。
  • 支流Bの谷頭に流れ込む水量が増加したことにより,谷頭侵食力が格段に強化され,場合によっては「滝が形成」されることもあります。
    滝は,今や支流Bとなった上流に向かって進むので,その下流側はほぼ間違いなく渓谷(峡谷)となります。
  • 一方,支流Bから河川Cの下流方向に向かう谷頭侵食が発生するので,争奪地点からかつての河川Cの下流側(上図の枝谷b)では「河床勾配」が逆転します。
本サイトにおける主な「河川争奪」と「風隙」のページ


北海道 : 信砂川と恵岱別川


北海道 : 尾根内川下流の消滅


青森県 : 岩木川支流郷坂沢川


秋田県 : 大沢川上流の風隙地形


福島県 : 久慈川水系と阿武隈川水系


岐阜県 : 飛騨川と馬瀬川


兵庫県 : 滝ノ尻川と宮田川


島根県 : 室原川と西城川


広島県 : 根谷川と簸川


山口県 : 宇佐川と高津川


愛媛県:肱川水系の2支流


熊本県 : 津留川と浜戸川

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