島根県:室原川と西城川の河川争奪
地形の特徴

河川争奪,斐伊川水系室原川,江の川水系西城川

地形の三次元イメージ : 三井野原付近
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

  赤矢印の地点は,「斐伊川水系室原川」が「江の川水系西城川」の上流を奪ったと言う「河川争奪」の場所です。
室原川左俣(仮称)の左岸上部にある台地(A付近)と,西城川最上流部の「風隙(B付近)」とは,
かつて同じ川(古西城川)の河床であった,と言われているのです。
ただし,西城川に分布する段丘堆積物の年代から,第四紀チバニアン期(約78万年前~約13万年前のいずれか)の頃のお話です。
河川争奪の経緯については,以下の想像図と記事をご覧ください。
【河川争奪前後図(想像図)・記事】
  • 河川争奪前,現三井野原駅付近を流れていた「西城川」は,川幅が広く河床勾配の緩い地形を形成しつつ,南へと流れていました。
  • 一方,「室原川」は同じ場所を目指して,北から激しい「谷頭侵食」を起こしつつ南に向かって進んでいました。
  • 室原川の谷頭が西城川の横っ腹に達したことにより,西城川の上流部は室原川へ流れ込むようになりました(河川争奪)。
  • 西城川の上流部の水を得た室原川は,緩傾斜だった元西城川の上流部(左俣と右俣)に向かって再度の「谷頭侵食」を開始し,最終的に深さ100m以上の「V字谷」を作ってしまいました。
  • この侵食力によってできた深い谷のために,「JR木次線」はスイッチバックで,国道314号は2重ループでこの谷を越しています。
地形の三次元イメージ : 三井野原付近の新規河川争奪と分水界

「点A」は,斐伊川水系室原川の枝谷①と枝谷②の「谷中分水界」ですが,他の5か所は斐伊川水系室原川と江の川水系西城川の「谷中分水界」です。
この中で,「点B」と「点G」は,「河川争奪」が既に成立しているのではないか,と想像しています。
「点C」から「点F」は,まだ分水界の段階ですが,谷頭(下刻)侵食力は,室原川の方が圧倒的に強大なので,いずれ争奪に勝ってしまうでしょう。
【引用情報と参考情報】

【引用情報】

【参考情報】

  • 参考図書:そしえて文庫96,地図の風景 中国Ⅱ 山口・島根・島根,pp.134-138.,そしえて刊,1981年7月20日
  • 周南公立大学・総合研究所 > 中国地方の地形環境 > 島根46 三井野原の河川争奪

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