秋田県:大沢川上流の風隙地形(雄物川と支流栩平川との河川争奪)
地形の特徴

風隙,河川争奪,環流丘陵,蛇行切断,川廻し

地形と地質の三次元イメージ : 雄物川大蛇行直前の左岸部
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

「仮称・雄物川大蛇行」に差し掛かる直前の左岸に隣接する場所に,雄物川本川にほぼ並行するような形の「連続した凹地」があります。
本イメージの「A点」~「大沢川合流点」がそれで,最大幅が約200mにもなるという,幅広の「谷底平野」です。
一方,「A点」で雄物川と合流する前の「栩平川(とちひらがわ)」も,激しい「穿入蛇行」をしつつも,幅100m以上の川幅を持っているようです。
これらのことより,古栩平川は「A点」で雄物川と合流しないで直進し,「現大沢川」と合流していたのではないか,という疑問を持つに至りました。
地形の三次元イメージ : 段丘面での検討

本イメージに記載した数値は,「国土地理院の5mDEM」から推定した標高です(小数点以下は四捨五入)。
「A点」近傍の段丘面の標高を比較すると,上流の「栩平川」では約28m,下流側では約26mと,両者は調和的であると認められます。
従って,雄物川の蛇行による攻撃斜面が「古栩平川~古大沢川」へと達して,上流側を奪ってしまったと,考えて間違いは無さそうです。
地形の三次元イメージ : 仮説,古栩平川~古大沢川の流れ

本イメージは,「A点」で「河川争奪」が起きたと仮定した時の,争奪前の流れの想像図です。
本当にこのように流れていたのかの判断は,河床堆積物の鑑定など現地調査の結果を待ってからになるでしょう。
なお,栩平川には「環流丘陵」と複数の「川廻し」箇所が存在します。 以下を参照してください。
地形の三次元イメージ : 環流丘陵と川廻し地形

「栩平川」には,自然の産物である「環流丘陵」が1箇所と,人工的に河道付け替えによる「川廻し」が3箇所存在するようです。
上図で「A」~「C」は川廻しで,「D」は環流丘陵と想像します。 何れも河道がショートカットされるため,環流部は「風隙」となります。
【記事,引用情報と参考情報】

【記事】

  • 大河「雄物川」の支流である「栩平川」は,新第三紀中新世の「泥岩」の中を流れているせいか,多くの「穿入蛇行」が存在しています。
  • この泥岩は「軟岩」と呼ばれているように掘削し易く,穿入蛇行の狭隘部を人工的に切断した「川廻し(千葉県上総地方)」が行われています。
  • 事務局では,栩平川は元々「大平川」の上流であったのに,雄物川本流の「側方侵食」によって「河川争奪」が起きたのでは,と想像しました。
    あくまで,想像の段階なので,仮説とお考え下さい。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】