膨大な時間の経過を知る 類型:人間
  双子岩(ふたごいわ) 秋田県男鹿市
1.謂われ,特徴,エピソード等

 双子岩は,その名のとおり,よく似た岩が二つ並んでいます。
 専門的には岩脈や岩床と呼ばれるこの岩は「粗粒玄武岩」と言い,その噴出した年代は新生代新第三紀中新世(約2000万年前頃)です。

 周囲の「火山礫凝灰岩(下記)」が堆積してから1000万年後に,地下から新たに上昇した玄武岩質のマグマが,その中に入り込んだ(貫入)ことになります。
 膨大な時間を経ても今なお地層として残されている記録から,地球の営みのスケールの大きさを感じることができます。

 双子岩は,また地学教育に有用な貴重な岩です。
 この岩には,岩脈と岩床という2種類のマグマの通り道があり,この両者を同時に観察することができる,男鹿半島唯一の場所です。
 その為,「目で見る」ことに加え,ガイドの話を通して「当時の火山活動の様子を頭で見る」ことを楽しむことができるポイントです。

2.地形・地質の概要

 双子岩がある潮瀬崎には「火山礫凝灰岩」と呼ばれる,新生代古第三紀漸新世(約3000万年前頃)の火山噴出物が分布しています。
 本岩石は,マグマ水蒸気爆発に伴う「火砕サージ」がもたらした高温・高速の爆風によって吹き飛ばされて堆積したものです。

 双子岩では,火山礫凝灰岩に貫入した岩脈や岩床を観察することができます。
 岩脈とは,地下から上がってきたマグマが,もともとあった岩層を高角度で貫いて地表には噴出せずに固まったものを言います。
 これに対して,水平に低い角度で貫入しているものは岩床と呼ばれます。
 双子岩は,岩脈と岩床の両方を同時に観察できるとても珍しい場所なのです。


双子岩 近景。 左は 帆掛島

双子岩 遠景
3.奇岩近傍の三次元地形イメージ

「男鹿半島」南東端には,「双子岩」など9個?の奇岩が集中しています。
その中で最も数が多い奇岩は,「火山礫凝灰岩(流紋岩質)」が日本海の荒波によって削られた「波食棚」の上に存在しています。
すなわち,その奇岩の部分だけが硬くて削り残されたという,自然の彫像?なのです。
4.周辺のジオサイトや観光地
男鹿半島・大潟ジオパーク
 この奇岩は,男鹿半島・大潟ジオパークの「潮瀬崎ジオサイト」を構成するジオポイントの一つです。
 このジオサイトには奇岩が多いことで知られ,双子岩の他にも「ゴジラ岩」,「ゴジラの尻尾岩」,「ガメラ岩」と「帆掛島」の4奇岩を加えた合計5奇岩が,「日本の奇岩百景+」に登録されています。
☆観光地
 赤神神社五社堂 : ナマハゲ伝説の残る重要文化財 ,なまはげ立像:高さ9.99m
 鵜ノ崎海岸 : 日本の渚百選,奇岩「小豆岩」など
 館山崎 : 奇岩「グリーンタフ」,「ろうそく岩」など。
5.交通(公開時の情報)
  • 鉄 道:JR男鹿線の「男鹿駅」下車。男鹿市[マイタウンバス]の「男鹿南線」に乗車し,「帆掛島」で下車。乗車時間は約25分です。バス停からは徒歩約10分です。
  • 自動車: 男鹿総合観光案内所から,県道59号を門前方向へ約40分の所にあります。
6.記事,引用情報,お断りなど
 

【記事】
 ・GUPI職員による「男鹿半島・大潟ジオパーク巡検記」はこちらにあります。

【引用情報】
 ・国土地理院 > 地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)  国土地理院利用規約

【お断り】
 ・奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。地形図については,地図検索のページをご覧ください。

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