舞茸のような形と記された 類型:植物
  椿の白岩(つばきのしらいわ) 秋田県男鹿市
1.謂われ,特徴,エピソード等

 男鹿市船川港椿に所在するこの岩は,江戸時代の紀行家である菅江真澄が,紀行文『男鹿の秋風』で図絵とともに記録しています。 菅江真澄は,江戸時代,三河国(現愛知県)に生まれました。 30歳のころに故郷を離れ,今の東北地方から北海道をめぐり,その多くを秋田県で過ごしました。

 椿の白岩はその名の通り,太陽の光を反射して白く輝いて見えます。 菅江真澄が見た当時この岩は海に面していたためか,「雨と潮に濡れてその色は青ばみ,異様に見えた。」と日記に残しています。

 真澄は図絵の説明文に「舞茸のような形」と書かれており,地元住民からは「まいたけ岩」の愛称でも呼ばれています。

 白岩の周辺は交通網の発達と共に海岸沿いから道路沿いへと変わりましたが,その姿形は江戸時代から何も変わっていません。


椿の白岩の近景
2.地形・地質の概要

 白岩は「凝灰岩」でできています。様々な風化浸食作用を受け,まるでバニラアイスクリームをスプーンで削り取ったような形を成しています。

 新生代古第三紀漸新世(約2,100万年前頃)に海底火山活動によって噴出した火山灰が,海底で堆積した凝灰岩です。

3.奇岩近傍の三次元地形イメージ

「男鹿半島」南東端の「館山崎」には,「椿の白岩」など3個?の奇岩が存在します。
「グリータフ」と椿の白岩は,凝灰岩の海食崖そのものが奇岩となっており,「ろうそく岩」は,波の侵食により台地から切り離された「岩尖」です。
4.周辺のジオサイトや観光地
男鹿半島・大潟ジオパーク
 この奇岩は,男鹿半島・大潟ジオパークの「館山崎ジオサイト」を構成するジオポイントの一つです。
 同ジオサイト内では,「グリーンタフ」と「ろうそく岩」も日本の奇岩百景+に登録されています。
☆観光地
 ・ツバキ自生北限地帯。ヤブツバキの日本海側における自生北限地帯として,大正11年,国指定天然記念物に指定されました。
  別名,能登山の椿。 江戸時代の日本海交易にまつわる悲恋物語のほか,八百比丘尼や浦島太郎など不老長寿に関わる伝説も残っています。
 ・赤神神社五社堂 : ナマハゲ伝説の残る重要文化財 ,なまはげ立像:高さ9.99m,
 ・鵜ノ崎海岸 : 日本の渚百選,奇岩「小豆岩」など
 ・潮瀬崎 : 奇岩「ゴジラ岩」,「帆掛島」,「ゴジラのしっぽ岩」,「双子岩」と「ガメラ岩
5.交通(公開時の情報)
  • 鉄 道:JR男鹿線の「男鹿駅」下車。男鹿市[マイタウンバス]の「男鹿南線」に乗車し,「椿漁協前」で下車。乗車時間は約20分です。バス停のすぐ近くです。
  • 自動車:男鹿総合観光案内所から,県道59号を約20分走行すると椿漁港に到着します。椿漁港内の館山公園周辺に駐車スペースがあります。。
6.記事,引用情報,お断りなど
 

【記事・参考文献】
 ・(社)秋田県観光連盟 > 菅江真澄と行く男鹿半島  ビューポイント10
 ・GUPI職員による「男鹿半島・大潟ジオパーク巡検記」はこちらにあります。

【引用情報】
 ・国土地理院 > 地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)  国土地理院利用規約

【お断り】
 ・奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。地形図については,地図検索のページをご覧ください。

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