高知県:檮原川と北山川の環流丘陵群
地形の特徴

環流丘陵,穿入蛇行,谷中谷

案内用三次元イメージ : 四万十川水系,檮原川(梼原川)と北川川流域

四万十川の有力な支流である「檮原川」には,多くの「環流丘陵」が存在します。
「穿入蛇行」でできた「Ω流路」の根元が切断された後に離水化(段丘化)した地形ですが,場所によってその形状は千差万別です。
本ページでは,四万十川との合流点から檮原村市街地までの間と,北川川の一部を対象として,
環流丘陵ではないかと想定される旧河道状地形を取り上げてみました。
なお,取り上げた地形の中には,一見すると「環流丘陵」のように見えますが,その実違うと思われる地形も存在します。
地形の三次元イメージ : ① 四万十町,田野々地区(環流丘陵)

「檮原川」が「四万十川」の本流に合流する地点のすぐ上流にある巨大な「環流丘陵」です。
JR四国予土線の「土佐大正駅」や,高知県立四万十高校が設置されているほど広大な土地です。
環流部分の最高点と檮原川の水面との比高はわずか22mで,比較的新しい年代に形成されたと思われます。
地形の三次元イメージ : ② 四万十町,江師(えし)地区(環流丘陵)

「田野々」環流から約3.5km上流にある「環流丘陵」です。 水面と環流部の最高点との標高差は,約38mです。
環流部の下流部には,後ろの山から数本の細流が流れており,これらが環流部を侵食したのだと思われます。
地形の三次元イメージ : ③ 四万十町,西ノ川地区(環流丘陵)

「江師」環流の上流で背中合わせの場所にあります。 対岸にも,中央丘陵の無い「環流丘陵」が存在するため,地形断面図はひとつのものとして作成しました。
二つの環流丘陵とも,環流部の背後から流れてくる複数の川の存在が最大の特徴です。
檮原川の環流が終了して環流部が陸水化した後に,それらの川による侵食により,比較的傾斜の急な地形を呈しています。
地形の三次元イメージ : ④ 四万十町,下津井地区(環流丘陵)

四万十川・檮原川の合流点と檮原町の中心地とのほぼ中間に位置する「環流丘陵」です。 「Ω状地形」のくびれが極めて狭い,という特徴があります。
環流部分の上流部には「払川」という,比較的大きな川が流れており,その侵食による「谷中谷」が発達しています。
地形の三次元イメージ : ⑤ 檮原町飯母(いいぼ)地区(環流丘陵)

「檮原村」中心部のすぐ下流に位置する「環流丘陵」です。
檮原川の水面標高と環流部の最高点の標高の差は約26mと,檮原川の平均的な値を示しています。
なお,檮原村中心部の立地する段丘も,中央に丘陵が無いだけで,「穿入蛇行」によって形成された地形かもしれません。
対岸の「檮原中学校」の敷地も,その可能性があります。
地形の三次元イメージ : ⑥ 檮原町影野地(かげのじ)地区(環流丘陵)

四万十川の孫支流である「北川川」にある「環流丘陵」です。
水面との標高差が約47mと,他の環流丘陵に比べかなり大きいのですが,対岸の段丘面の標高と同じレベルであることから,
かつて北川川が穿入蛇行によって,この環流部を流れていたものと考えました。
地形の三次元イメージ : ⑦ 檮原町,佐渡地区(非環流丘陵)

檮原川の孫支流である「北川川」の合流点の上流,北川川と背中合わせである「環流丘陵状地形」です。
①環流状地形の最高点と檮原川の水面との標高差が約100mあること,②環流状地形を流れる有力な川が無いこと,
により,一見環流丘陵(穿入蛇行)のように見えますが,偶然の産物であろうと考えました。
地形の三次元イメージ : ⑧ 檮原町,仲久保地区(非環流丘陵)

この地形は,「穿入蛇行」による「環流丘陵」では無く,
「仲久保」という地名の上流側で「河川争奪」が起きたために,環流丘陵のように見える地形であろうと考えました。
檮原川に注ぐ「①川」は,背後の尾根を源流として流れていましたが,
すぐ下流の「②川」の侵食力が強大であったため,上流部を奪われてしまった,というストーリーです。
【河床勾配図】

四万十川との合流点付近を起点した,檮原川の流路距離~「環流丘陵」の最高地点の標高値のグラフと,
国土地理院の5mDEMから檮原川の水面標高の推定値を求め,同じスケールを使用したグラフを重ね書きしてみました。
檮原川流域における環流部の最高点と現在の水面の標高差は,約22m~約38m(平均約29m)となり,
この分だけ水面が下降した(大地が隆起した)と考えることができるかもしれません(確たる証拠はありませんが)。
【記事,引用情報と参考情報】

【記事】

  • 穿入蛇行とは,かつて平坦地や準平原などの丘陵地などを自由に蛇行(自由蛇行:曲流)していた川が,大地が隆起して山地に変わったとしても,その河道を変えないで蛇行を続けていることを言います。
    いわゆる「先行谷」の一種であると言えるでしょう。 穿入蛇行は,大地が隆起する速度よりも,下刻侵食する速度の方が大きい場合に,しばしば発生します。
  • 林(2001年)は,四万十川中流域の穿入蛇行について,四国山地が隆起したためではなく,断層と地層の走向に起因する,という学説を発表しました。
    確かに,四万十川の中流部は,四万十帯北帯の「砂岩」と「泥岩」の境界を出入りする蛇行を繰り返しながら西流しています。
    案内図で「1/20万 シームレス地質図」を表示させてみてください。
  • 「佐渡地区」と「仲久保地区」の場合,最高点と檮原川の水面との標高差は,約100mと約86mです。
    環流丘陵の平均値が約29mなので,「穿入蛇行」による「環流丘陵」ではない,と判断しました。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】