大分県:大野川が阿蘇火砕流を侵食したできた地形(竹田市)
  (日本の地質百選:竹田の阿蘇火砕流堆積物)
地形の特徴

阿蘇火砕流堆積物,遷急点,下刻侵食,環流丘陵,河岸段丘(河成段丘),谷中谷

地形と地質の三次元イメージ : 大野川上流域
‼マウスオーバー‼    地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万,シームレス地質図」を表示します。

阿蘇火山の外輪山に対する「大野川」水系の多くの「遷急点」は,標高約500mあたりまで迫ってきました(下図参照)。
遷急点の上は,なだらかな火砕流台地が広がっていますが,遷急点(滝のように河床の勾配が急変する点)が通過した後は,
幅が狭くて奥行きの身近な無数の谷が生まれるため,細かな凹凸の激しい大地へと変貌を遂げてしまいます。
地形断面図 : 阿蘇外輪山―竹田市街地

外輪山から水平距離で約14kmもの間,傾斜が「約28.5パーミル」とほぼ一定です。
すなわち, この区間には,深い谷が形成されていない,すなわち,下流域からの遷急点がまだ届いていないからなのです。
1 遷急点は滝が後退するように,上流に向かって常に移動しているので,この移動速度が推定できれば,
阿蘇火山の外輪山が崩壊するまでの時間が計算できそうですが,報告事例に遭遇していません。
地形の三次元イメージ : 阿蘇火砕流台地と大野川水系による遷急点

大野川水系に属する全ての枝谷には,はっきりとした「遷急点」が存在します。
「火砕流台地(Aso-4)」にできている「ガリ」の規模によって,遷急点の位置や下流側に発生する「V字谷」の規模が決まるかもしれません。
「山崎川」では,河床と台地の標高差が140m程度になると,下位の地層である「安山岩類・火砕流」が出現するようです。
地形の三次元イメージ : 大野川水系の穿入蛇行と環流丘陵

竹田の市街地より上流の「大野川水系」には,数多くの特殊地形が存在します。
本図の範囲の大野川水系には,「穿入蛇行」や「環流丘陵」が多く存在します。 例えば, 「玉来川」では,「文化ホール」の場所が環流丘陵です。
また,「玉来川」の「鶴原集落」と「稲葉川」の「飛田川集落」も環流丘陵ですが,この二つはなんと背中合わせです。
その他,環流丘陵の疑いの濃い地形もかなり点在しています。 段丘堆積物などの調査を行えば,明らかになるのでは,と期待したいところです。
【記事・引用情報と参考情報】

【記事】

  • 「阿蘇火山」は,新生代第四紀中期更新世(約30万年前頃)から後期更新世前期(約9万年前頃)の間に,4回の大規模噴火を起こしました。
    その際に噴出された大量の噴出物は,当時の地表のほぼすべてを覆い尽くすように,山麓へと斜面を流れ下りました。「阿蘇火砕流堆積物」です。
  • 阿蘇火砕流堆積物は,古いものから順に「Aso-1火砕流堆積物」,・・,「Aso-4火砕流堆積物」と命名されており,以下はその主な特徴です。
  • Aso-4火砕流堆積物(約 9万年前頃): 火砕流台地の表面に薄く堆積しています。地表は溶結していないため,軽石の空隙は潰れていません。
  • Aso-3火砕流堆積物(約13万年前頃): 地表近くは非溶結ですが,深度が増すにつれ強固な「溶結凝灰岩」へと変化します。
        「柱状節理」が発達している場所では,節理面に沿って凝灰岩が崩落するので,ほぼ垂直の絶壁を形成しています。
  • Aso-2火砕流堆積物(約15万年前頃): スコリアが含まれており,溶結の程度はやや弱く,急な斜面を形成しています。
  • Aso-1火砕流堆積物(約30万年前頃): 「蘇揚峡」付近の「五ヶ瀬川」の河床に分布しています。 溶結度が最も高く侵食に強いという特徴があります。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

  • 本ページは,旧GUPIのウェブサイト「地質情報ポータルサイト」で公開されていた「日本の地質百選:竹田の阿蘇火砕流堆積物」と「日本の地形千景ブラス:阿蘇火砕流と大野川の侵食地形(竹田市)」を統合したものです。
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