土砂災害と雨量について
 2009年7月 防府市真尾地区(2009山口豪雨) 土石流の例
防府市真尾(まなお)地区の三次元地形イメージ

「真尾川支流」で発生した土石流の原点とも言うべき「表層崩壊」は,支流のかなり上の部分と思われます。
支流の右岸側の斜面が崩壊し,崩壊土砂と大量の雨水に加え,堆積土砂や倒木などが,支流を一気に流れ下ったのです。
降雨と浅層崩壊の状況

① 2009年7月の白昼,山口県防府市を中心とした範囲で,多くの土石流が発生しました。
  特に,真尾(まなお)川の支流に発生した大規模な土石流は,真尾地区の特別養護老人ホームに流れ込みました。
② 同ホームでは7名が犠牲となるなど,災害地全域の犠牲者は14名と,大きな土砂災害となりました。
③ 真尾地区で発生した土石流の引き金は,豪雨による斜面の 表層崩壊 と言われています。
④ 下記の土砂災害警戒区域図からわかることは,真尾地区は「複数の土石流堆積が輻輳する土砂災害リスクの大きな場所」であると言うことです。


(左)出典:日本気象協会                             (右)出典:国際航業(株)

(左)出典:山口県による土砂災害警戒区域(災害発生前の平成20年に指定)      (右)出典:国土地理院
降水量・土壌雨量指数について
・連続雨量:332mm(7/19~7/22)
・最大時間雨量:64mm(7/21 09:00)
・最大土壌雨量:216mm(7/21 12:00)
・土石流発生時刻: 7月20日 12:00頃

・特徴1 最大時間雨量を示した時刻と,土石流が発生するまでの時間差は,ほぼゼロです。
・特徴2 土壌雨量指数が200を越えてから,土石流が発生するまでの時間差も,ほぼゼロでした。

・特徴3 21日の7時45分に「土砂災害警戒警報」が発令されたので,余裕時間は4時間程度ありました。
・特徴4 7時頃の土壌雨量指数は約100なので,この地域の警報レベルは,かなり小さい(土砂災害が発生しやすい)地域であることがわかります。


参考のために,半月以上前からの雨量の状況を図化しました。連続雨量と違って,雨量ゼロによるリセットをしていないので「累積雨量」としました。
参考情報
・国土交通省 > 平成21年7月21日豪雨による山口県土石流災害の状況
・地形と地質の解説 > 土石流について