見れば見るほど人の横顔だ 類型:○○
  鼻欠倉(はなかけぐら) 山形県大蔵村
【奇岩の写真】

雪の残る初春の鼻欠倉。

(左)晩秋の鼻欠倉その1。
(中)晩秋の鼻欠倉その2。 目を閉じているように見えます。
(右)新雪が積もった初冬の鼻欠倉。 目が開いていませんか。
【いわれ,特徴,エピソード等】
  • 「鼻欠倉」を南側(向かって左側)から見ると,人の横顔に見えます。
  • 季節によって顔の表情が変わると言われています。
  • 鼻欠倉の上部には,杜が奉られています。
  • 鼻欠倉の近くで,弥生時代の矢じりが出土したとの話もあり,同時代に人々が暮らしていたこの場所は,もう少し台地が広がっていたと考えられます。
【地形と地質の三次元イメージ】


20万分の1 シームレス地質図(出典,下記)

【奇岩とその周辺の地形と地質】

  • この地域一帯は,月山の基盤である「泥岩」や「砂岩」,「礫石(りゃくせき):礫岩」からなる堆積層が分布しています。
  • これらは新生代新第三紀中新世~鮮新世(約700万年前~500万年前頃)に,海底などで堆積した地層で,出羽丘陵の隆起に伴って現在の位置まで上昇しました。
  • 鼻欠倉の近くを,ほぼ南北に走る断層が存在します。
    断層の西側の基盤は,泥岩主体の第三紀層(Md層)で,東側の基盤は,砂岩,泥岩,礫岩などがまじりあった第三紀層(SM層)です。
  • 第四紀の後期更新世に至り,「肘折カルデラ」の形成に伴って大規模な「火砕流」が発生しました。
  • 堆積物(溶結凝灰岩,角礫凝灰岩など)は,この付近一帯を覆い尽くした結果,広大な台地が形成されたのではと想像します。
  • しかし,火砕流堆積物は,雨水や川水の侵食に弱い性質があるため,現在では急峻な「侵食谷」が形成されています。
  • 鼻欠倉は,その急崖の一部です。 表層の崩壊などもあって,現在の形になったのではないでしょうか。 近くの断層の影響も考えられます。
  • なお,鼻欠倉の近くでは,しらす台地(火砕流台地)と第三紀層が同時に見られるユニークなポイントが存在します。
【記事・引用情報,お断りなど】
【記事】
  • 奇岩の「鼻欠倉」と「地蔵倉」の他に,銅山川の流域には「小松倉」や「板谷倉」と言った,「倉」の付く地名があります。
  • この地名の「倉」は,多くの場合「断崖絶壁」,「崩壊した谷」や「急峻な斜面」などを表します。
  • 大規模火砕流の台地が河川の侵食によって削られて,断崖絶壁となっている場所なのですね。
  • なお,全国的にみた場合,倉には「山」を意味する場合もあるので,ご注意ください。
【引用情報】
【参考情報】
【お断り】
  • 奇岩の位置については,地図検索のページをご覧ください。
  • 旧版において掲載していた「周辺のジオサイトや観光地」と「交通概況」については,情報が陳腐化してきたことから削除しました。 メジャーな検索サイトのご利用をお願いします。
【奇岩の位置座標】

座標データ: 140.2103027 : 38.6414813