義経に残された愛犬・・・伝説 類型:人間
  犬岩と千騎ケ岩(いぬいわとせんがいわ) 千葉県銚子市
奇岩の写真

犬岩の近景

千騎ケ岩。
いわれ,特徴,エピソード等

 ふたつの耳をスクッと立てた岩体で,一見して犬に見えることから「犬岩」と呼ばれています。
 その近く(約200m離れています)には,高さ18m,周囲約400mの巨大な岩体があり,「千騎ケ岩(せんがいわ)」と呼ばれています。

 千騎ケ岩は「利根川図誌(とねがわずし)」(赤松宗旦(あかまつそうたん)著・安政年間)にも紹介されている銚子磯めぐりの名勝地のひとつでもあります。

 銚子には「義経伝説」が各地に残されています。
 「犬岩」は源頼朝に追われた義経が,奥州に逃れる際,海岸に残された愛犬が主人を慕って七日七晩鳴き続けて岩になったという伝説があります。
 また「千騎ケ岩」は義経が千騎の兵をもって立てこもったという伝説から名前が付けられました。
 このような伝説がつくられた背景には,銚子が東北(義経伝説の本家)から江戸への海上輸送の中継拠点(銚子から江戸には利根川を利用)であったことや義経とかかわりの深い武将片岡氏が,この地に居城を構えていたことに関係があるのかもしれません。

 犬岩・千騎ケ岩のそばの岬「犬若岬」は,山地以外では肉眼で富士山を観察できる最東端といわれており,伊能忠敬が全国を測量した際,測量の誤差を補正するために,1801年にここで富士山を観測しました。
 また,千騎ケ岩は鳥の繁殖地として知られ,貴重な崖地性海浜植物も自生しています。
 そのため,千葉県指定天然記念物に指定されています。 

地形・地質の概要

 ジュラ紀の付加体と考えられている愛宕山層群の砂岩・泥岩からできています。

 犬岩や千騎ケ岩では,せん断変形の著しい砂岩と泥岩が露出し,一見して付加体であることが理解できます。
 この愛宕山層群は千葉県で最も古い地層です。

 犬岩の付近では断層があり,断層で破砕された部分が,選択的に浸食をうけている様子を見ることができます。
 犬岩のそばでは,「愛宕山層群」と新第三紀の「名洗層」の不整合を見ることができます。

奇岩近傍の三次元地形イメージ

 「銚子半島」は,様々な年代の地層が入り混じった場所です。 「海成段丘面」である台地の大部分は第四紀完新世の「堆積岩」です。
 これに対し,「犬岩」,「千騎ケ岩」や「愛宕山」は,中生代前期~中期ジュラ紀の「付加体」なので,その差は2億年近くもあります。
 また,「長崎鼻」の周辺は中生代前期白亜紀の砂岩(非付加体)なので,それが堆積した年代は約1億年前となります。
周辺のジオサイトや観光地

銚子ジオパーク
 この奇岩は,銚子ジオパークの「愛宕山・千騎ケ岩・犬岩ジオサイト」を構成するジオポイントです。
 銚子ジオパークでは,この他に「屏風ケ浦」と「宝満」が奇岩に登録されています。
 「愛宕山・千騎ケ岩・犬岩ジオサイト」には,北総地区で一番高い愛宕山頂上の 地球の丸く見える丘展望館 があります。

☆観光地
 外川の町並み:銚子電鉄終点外川駅から歩いて数分の漁業集落。紀州和歌山から移住してきた崎山治郎右衛門(さきやまじろうえもん)が1658年(万治元年)に外川漁港を築港した際,計画的に作られた街で,街路は港を中心とした碁盤目状にひろがります。
 駅舎を含め昭和のレトロな感じを体験できます。

☆観光コースの例
 屏風ヶ浦遊歩道(散策) → 犬若岬(犬岩・千騎ケ岩) → 外川の町並み

交通概況

☆鉄道
 JR総武本線「銚子駅」下車。千葉交通バス「名洗・千葉科学大学方面」行に乗車し,「銚子マリーナ」で下車。バス停から徒歩約5分で犬若岬に到着します。

☆自動車
 東関東自動車道の「大栄IC」を経由し,IC近くの「東総有料道路」で「大角IC」まで走行し,後は県道56号と国道126号などを利用してください。

引用情報,お断り

【引用情報】
 国土地理院 >
   地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)
   国土地理院利用規約

【お断り】
 奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。
 地形図については,地図検索のページをご覧ください。