|
【投稿者:府川 宗雄氏】 2006年
- Grand Canyon の東端部から南南東へ,Meteor CraterとPetrified Forestとの中間地点を結ぶ線を境に,それよりも東側に中生界が分布し,珪化木として植物化石を多産するペトリファイド・フォレスト(Petrified
Forest)国立公園付近には,三畳系上部(約2億年前)に相当するチンル層(Chinle Formation)から三畳~ジュラ系境界に位置するナバホ層(Navajo
Formation)までが分布している。
- 化石の珪化を進めた要因は,地層が非常に凝灰質であることによるが,決して当時の森林が大規模な火山活動に伴う大量の火山灰によって埋められた,というような
catastrophic な現象などではなく,現地の解説によると,非常に長い年月の間に,上流から川によって運ばれた倒木が,河口ないしは盆地内の低地に堆積し,埋積したものだという,現在でもわれわれが洪水時などにしばしば目にする現象に原因を求めている。
- 国立公園域は,同地域の中ほどを東から西に横断して流れているプエルコ河を境いに,北側のペインテッド・デザート(Painted desert)と,南側のレインボウ・フォレスト(Rainbow
Forest)の2つの地区に分けられているが,珪化木化石を多産するのは,ブルー・メサ(Blue Mesa)やクリスタル・フォレスト(Crystal
Forest)など,代的な化石産地を含む含む南側のレインボウ・フォレスト区域である。
- これに対して北側のペインテッド・デザート地区は,内陸乾燥地帯に特有の地形や現象に加え,石器時代人の遺跡なども観られる区域として特徴づけられるが,ここでは,国立公園名が示しているレインボウ・フォレスト地区の,珪化木の産状に関してのみ記しておく。
クリスタル・フォレスト
- ブルーメサ(Blue Mesa)で多く見かけられる珪化木に比べ,この地域の化石はかなり珪化が進んでいるのが特徴的である。
- たとえば,写真①の化石はRaibow Colored Agateと呼ばれている非常に珪化が進んだ状態のものの例で,無色半透明のメノウ(agate)のほか,紫水晶(Amesist),黒水晶(black
quartz),黄水晶(citrine),ジャスパー(jasper)など,文字どうり各種の結晶が虹色に集まって構成されている。
- この化石は根元の部分であるが,近くに幹の部分も見られ,このように根を伴う珪化木は,いずれも幹ともども倒れた状態で随所に観られる。
- 大地に根を張った状態のものが観られないことから,ブルーメサに述べた化石の成因が支持されているように思われる。
- しかし,同じ国立公園内にありながら,この例のように珪化が著しく進んだ化石が多く観られる地域と,ブルーメサ地域のように,さほど珪化が進んでいない化石が分布しする地域とが分かれて存在している現象が,いかなる原因で生じたのかまでは,残念ながら確かめる時間が持てなかった。
- 写真②は,Agate Bridge と呼ばれている珪化化石の倒木で,化石を横断する方向に開析谷頭が延びてきた結果,化石が谷をまたぐ橋のような産状を呈するにいたった例である。
幹を横断している大きなひびと,ブルーメサに観られるような谷底の転石を見た後では,叩いてまでも渡ってみようなどという気になれる人はおそらく現れないであろう。
|