長野県:氷食尖鋒の槍ヶ岳
地形の特徴

氷食,尖峰,ホルン,岩峰,圏谷,カール,日本百名山

地形と地質の三次元イメージ :
三次元地形図上でマウスクリックすると「5万分の1 地質図幅『槍ヶ岳・上高地』(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。

5万分の1 地質図幅『槍ヶ岳・上高地』 の主な凡例は,ここをクリックしてください。 別ウィンドウで表示します。
  • 日本で五番目に高い山の「槍ヶ岳(3180m)」は,東西南北へと延びる4本の尾根を持つことでも知られています。
  • しかし,槍ヶ岳自体はこれら尾根の交点では無く,北へ延びる「北鎌尾根」の付け根付近に屹立しています(北鎌尾根も,交点から東にずれてはいます)。
  • 槍ヶ岳の「北鎌尾根」から「前穂高岳」へ,南北方向に延びている飛騨山脈の主稜は,第四紀カラブリアン期の「槍沢角礫岩層(Ya)」と「前穂高岳溶結凝灰岩層(Wm)」で構成されています。 いずれの地層も,「大規模火砕流」と呼ばれている「火山噴出物」に該当します。
  • ところが,槍ヶ岳近くの尾根の交点付近にのみ,古生代の「槍ヶ岳結晶片岩(My,変成岩)」が分布しています。
    今から2.5億年~3億年前に形成された基盤岩(変成岩)の場所に,約150万年前に大規模な火山活動が起こったのです。
  • 地形的にみた場合,火山活動が停止した後の「最終氷期」の間中,継続したと思われる「氷河による侵食(氷食)」により形成された地形(圏谷やU字谷など)が際立っていて,この付近一帯はかつて火山であった,ということを示す兆候を感じ取ることはほぼ不可能です。
地形と地質の三次元イメージ : 氷食と槍ヶ岳
  • 「岩田,2003」によると,槍ヶ岳とその周辺の場合,標高の低い場所にあるカール(圏谷)は約10万年から約6万年までの間の「横尾期」に形成され,尖峰(大槍と小槍)など標高の高い場所は,約4万年前以降約1万年前までの「涸沢期」に形成された,と考えられています。
  • 「五百沢,1979」を参照すると,上・下図に示すカール(赤点)は,ほぼ全て涸沢期に形成されたのでは,と思われます。
  • 尾根の両側が氷河である場合,その尾根は両側から削られるために,西鎌尾根のようなナイフ・リッジと呼ばれる「やせ尾根」になります。
  • 一方,四方から氷河が迫ってくると,鋭くとがった「氷食尖峰(ホルン)」になることがあり,スイスアルプスの「マッターホルン(4778m)」や槍ヶ岳が好例でしょう。
【鳥観図・現場写真】

5m(レーザ)DEMを利用すると,小槍を分離して表現できました。

(右)槍沢と二ノ俣谷の出合~槍沢ロッジ間のどこかで撮影しました。 見えるはずの小槍,はガスの中でした。
槍ヶ岳

この登山ルートは,深田久弥の登山ルートの一部を再現しました。
  • 深田久弥は,常念岳に登頂した後で,一ノ俣谷と二ノ俣谷を通過して槍沢に入りましたが,現在そのルートは地形図に記されていません。
  • このため,出発点を「徳沢園」と仮定したルートをトレースしてみました。
  • 地形図上の標高差は1,618mです。 一方,アップダウンを考慮した登りは約1,950mとなります。
  • 徒歩上の距離は約13.3kmとなり,健脚者ならば約8時間程度で登頂できるでしょう。
【記事・引用情報と参考情報】

【記事】

  • 「穂高安山岩類」の年代について,1990年発行の5万分の1 地質図幅『上高地』と1991年発行の『槍ヶ岳』では,「古第三紀の末期」と表記されていますが,最新の20万分の1 シームレス地質図では「第四紀・更新世・カラブリアン期」と劇的に新しくなりました。
  • 同様に,「滝谷花崗閃緑岩」の年代も,「古第三紀と新第三紀」の中間から「更新世・ジェラシアン期~カラブリアン期」へと変更されました。
  • この理由は,『上高地』と『槍ヶ岳』の発行後に新たな発見があって,これらの地質年代が更新されたからです。

【引用情報】

  • 国土地理院 > 地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)  国土地理院利用規約
  • 産業技術総合研究所・地質調査総合センター > 槍ヶ岳・上高地
    5万分の1地質図幅『槍ヶ岳』[原山 智・竹内 誠・中野 俊・佐藤 岱生・滝沢 文教,旧地質調査所,1991年]
    5万分の1地質図幅『上高地』[原山 智,旧地質調査所,1990年]
    (アクセス後,画面左のメニューから,当該地質図を選択・表示してください。)
      三次元地質図の作成に使用した地質図は,上記センターから公開されている「地質図ラスタタイル」を利用しました。

【参考情報】

【お断り】