京都府:木津川中流左岸の天井川群と構造物(トンネル,水路橋)
地形の特徴

天井川,堤防,河川改修,トンネル,水路橋

地形図と都市圏活断層図の三次元イメージ : 馬坂川扇状地などと天井川
地図上で1回クリックすると,国土地理院の「都市圏活断層図(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。
  • 三重県の山あいに源を発する「木津川」は,途中の伊賀盆地から峡谷となって西に流れ,やがて山城盆地に達します。
  • 山城盆地に入ると90度北に向きを変えて淀川を目指しますが,転向点から左岸側の「京田辺市域」の中に,合計3本の「天井川」が存在しています。
  • 木津川のこの辺りは天井川が極めて多く,反対側の右岸側にも合計6本もの天井川が存在しています。
    両岸に天井川が多い理由は,木津川の上流から運ばれてきた土砂が山城盆地で堆積し,本流の水位が次第に高くなるためなのです(詳細後述)。
  • 左岸側の天井川で特徴的なのは,「水路橋」が多く採用されていることです。 一度,オープンカットで天井川を切断し,水路橋を架ける工法ですね。
  • 諸情報を総合すると,京田辺市にはかつて上流から,遠藤川,普賢寺川,防賀川,馬坂川,天津神川,手原川,虚空蔵谷川及び大谷川と言う八本の天井川が存在しましたが,河川改修で次々と姿を消し,現在は馬坂川,天津神川及び手原川の3河川のみとなってしまいました。
標高段彩図の三次元イメージと河川横断図 :馬坂川の天井川区間
  • 「馬坂川」の谷の出口には古くから灌漑用と思われる池が造られています。
    馬坂川は,その池の脇から木津川が造った「谷底平野」に流れ込むのですが,その段階ですでに「天井川」となっています。
    恐らく,池と天井川は一体ものとして設計/構築されたのでしよう。
  • 馬坂川の天井川区間には,2か所の「跨線水道橋」と2か所の「跨道水道橋」が存在していますが,四つもの水道橋のある天井川は日本ではここだけです。
  • 1mメッシュ標高データを利用して,馬坂川の横断図を作成してみました。
    ① 馬坂川の上流側 : 「B点」の地盤の高さと堤防の高さの差は約10mです。 川表(川の中)の堤防の高さは約2mで,川幅は2m強しかありません。
    ② 馬坂川の下流側 : 「C点」の地盤の高さと堤防の高さの差は約9mです。 川表(川の中)の堤防の高さは約2mで,川幅は2m強しかありません。
  • 堤防の高さに比べ川幅が極端に狭いのが特徴です。 洪水時の最大流量がかつてほど多くないのかもしれません。
標高段彩図の三次元イメージと河川横断図 :天津神川の天井川区間
  • 「天津神川」は,谷の出口からいきなりの「天井川」です。
  • 天井川区間に3か所の「河床下トンネル(隧道)」と,1か所の「架道水路橋」があります。
  • 「馬坂川」と同様に,交差する構造物の多い天井川ですが,特筆すべきはトンネルのうち一つは「水路トンネル」です。
    すなわち,天津神川の下を「防賀川」が流れているのです。
  • 木津川との合流点近くに市道のトンネルがありますが,トンネル部の路盤を掘り下げてあります。 そのままでは,市道トンネルの天端が河床よりも上になってしまう,などの支障があったのでしょう。
  • 「点A」~「点B」間の天井川横断図を作成してみました。
    「点B」の地盤標高約23mに対し堤防の高さは約11mです。
    しかし,川幅は3~4m程しかありません。
標高段彩図の三次元イメージと河川横断図 :手原川の天井川区間
  • 木津川の最も下流側である「手原川」には,「防賀川」が潜る1か所の「水路トンネル」が存在するだけで,クロスする道路は「架川橋」で天井川の更に上を走っています。
  • 「点C」~「点D」間の天井川横断図を作成してみました。
    「点C」の地盤標高約19mに対し堤防の高さは約7mです。
    川幅は約10mもあって,上流の「馬坂川」や「天津神川」とは全く異なっています。
  • かつての手原川は,水量の多い川ではなかったか,と想像しています。
地形図の三次元地形イメージ: 京田辺市にかつて存在した8つの天井川と木津川右岸の天井川(一部)
  • 1900年頃の古地形図上に,その当時「天井川」だった河川の代表点と河川名を挿入しました。 参考のために木津川右岸の天井川も記載してあります。 
  • 普賢寺川と大谷川を除くと,いずれの河川も規模が小さ区,大量の土砂を供給したようには思えません(印象です)。
  • 木津川本流に土砂が堆積して水位が上昇するので,やむなく支流を天井川に改修した,という説が理解できます。
【記事・引用情報・参考情報】

【記事】

  • 本ページで紹介する天井川は,以下の状態の河川のことを指します。 なお,本流とは「木津川」を指し,支流とは「馬坂川」などを指します。
  • 大河川の上流で土砂崩れなどが発生し,河床に厚く堆積するようなケースが繰り返されると,本流を流れる水面の標高が相対的に高くなって,支流からの川水が本流に流れなくなります。
    「バックウォーター」現象の一種と言えます。
  • 排水状況を改善するには,本流の河床堆積物を排除するか,支流の河床を人工的にかさ上げするか,どちらかを選ばねばなりません。
  • 後者の方法によって,支流からの川水を本流に流れやすくした状態の人工河川も「天井川」と呼ばれています。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】