滋賀県:マサが積み上がってできた天井川(大沙川)
地形の特徴

花崗岩,マサ,土石流,扇状地,氾濫,天井川

地形図と地治水地形分類図の三次元イメージ:大沙川(おおすながわ)と扇状地
三次元地形図上で1回クリック,国土地理院の「治水地形分類図・更新版(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。
  • 「大沙川」は,野洲川が形成した広々とした中流域の「谷底平野」の左岸に合流する,流域面積の狭い小さな枝谷です。
  • しかし,本図でも河道が異様に盛り上がって見えるほどの「天井川」なのです。 それは,・・・
  • 大沙川の源流域の地質は,中生代後期白亜紀の「花崗岩」です。 風化されやすい性質があり,最終的にはほぼ砂と言ってもよい「マサ」に変わります。
  • 藤原京,南都七大寺や延暦寺など,京の都で宮殿や大寺の造営が繰り返されたため,田上地域からこの付近の山々は建築用木材の供給源となり続けました。
    江戸時代の初めごろにはすっかり「禿山」状態になってしまったそうです。
  • 地表がほぼ砂層である禿山のは,保水力など無いに等しいために,一寸した雨によって砂(マサ)が川から平野に流れ出てしまいます。
  • 住居や耕作地の安定的確保のために,大沙川に堤防を築いてその河道を固定化すると,大雨の時に流れてくるマサが河床に堆積します。
  • 堤防が浅くなったので,河床のマサを使って堤防を嵩上げしました。 次の大水でまたマサが堆積しました。 この繰り返しで天井川となったのです。
標高段彩図の三次元イメージ : 大沙川の天井川区間
  • 大沙川は,谷の出口すなわち扇頂部から天井川が始まっています。
  • 堤防の高さは数mから10mと実に高く,洪水時にこの付近で堤防が決壊したら大きな滝が生まれるので,川沿いの住民はさぞかし心配なことと思います
  • 現在,大沙川には3箇所の「川底下トンネル」が存在します。 旧東海道,町道とJR草津線です。
  • JR草津線のトンネルは「大砂川トンネル」と言い,川の名前「大沙川」とは異なっています。 
    1889年(明治22年)竣工と言いますから,相当古いトンネルです。
  • なお,本図ではトンネルではなく「水路橋」のように表現されていますが,トンネル直上部の標高データが欠落しているようです。
天井川の横断図(地形断面図)
  • 本地域は「1mメッシュの標高値」が利用可能なので,大沙川の横断図を作成してみました。
  • 上流側の新しい道路トンネルでは,地盤に対する堤防の高さは約10m,川表の堤防の高さは約2mです。 意外と川幅が狭いことに驚かされます。
  • 下流側の旧東海道では,地盤~堤防の高さは約8mと若干低くなっています。 川表の堤防の高さは約2mですが,川幅がすこし広がりました。
  • JR草津線の場合,前述のように天井川(トンネル直上)の河床と堤防の標高データが無いので,断面図の作成はできませんでした。
【記事・引用情報・参考情報】

【記事】

  • 大沙川の下流に「由良谷川」という天井川がありましたが,河川改修工事の一環として河道が付け替えられた結果,天井川区間が消滅しています。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】