東京都:小笠原諸島,父島列島(父島,兄島,弟島,孫島)
地形の特徴

火山地形,海食崖,無人岩(ボニナイト)

地形と地質の三次元イメージ(産総研・1/20万 シームレス地質図)
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

フィリピン海プレート東端の海中に存在する「小笠原海嶺」には,島嶼として北から「聟島列島」,「父島列島」と「母島列島」が存在します。
父島列島は,新生代古第三紀始新世(約4700万年前頃)に活動した太平洋の海底火山群で,古第三紀の終わり頃には陸地化したと考えられています。
構成する火山岩は「無人岩(ボニナイト)」と呼ばれている,マグネシウムの多く含まれている珍しい安山岩です。
陸地化してから3000万年程度は経っているため,波浪による侵食や構造運動の影響を受けて,形成時の地形からは,かなり変化していると考えられます。
地形の三次元イメージ : 弟島・孫島

「弟島」の主な地質は,「枕状溶岩」と言って,海中で急速に冷やされた無人岩(安山岩)の溶岩です。
地形的には,ほぼ全島「海食崖」に囲まれていますが,噴火に伴う(爆裂)火口,あるいは大規模崩壊(地すべり)を疑わせる場所あります。
地形の三次元イメージ : 兄島

「兄島」は,枕状溶岩と安山岩礫主体の「凝灰角礫岩」などで構成されています。
全周に「海食崖」が存在します。 島の西側の方が東側よりも崖の高さが高い,という傾向が見られます。
溶岩と角礫岩の違い,噴出した火口の位置など,様々な要因が考えられます。
地形の三次元イメージ : 父島

「父島」も,「枕状溶岩」が主体で次に「凝塊角礫岩」が分布しています。例えば,フェリーターミナルの後ろにある「三日月山」は,「凝塊角礫岩」です。
海野(H22)によると,三日月山の西側斜面は地すべり地形とのことです。
同様の地形は他にもあるので,詳しく調べると「地すべり地帯」が見つかるかもしれません。

「中央山」の周辺が丸く窪んでいると言う地形特徴から,中央山は中央火口丘ではないかと,思ってもみますが,もちろん確信は有りません。
単なる,地層(地質)による違いが形となって表れているだけかもしれませんし。

「父島」の南海岸には,高度のある「海食崖」が連続しています。
最も顕著なのが,「円縁湾」に面する「千尋岩」や,「天之浦」近くの「天之浦山」の周辺で,最大高さが約250mもある断崖絶壁が存在します。
地質は,枕状溶岩,流紋岩溶岩やハイアロクラスタイトなどで構成されています。

「父島」の南西に隣接する「南島」とその周辺は,新生代古第三紀漸新世(約3000万年前頃)の「石灰岩」です 。
氷期において海水準が100m超下がった時に,侵食・風化により「カルスト地形」が形成されました。
その後の海面上昇によって,現在では「沈水カルスト」となっています。 水中洞窟が存在するかもしれません。
「扇池」とその北に小さな池が存在します。 海面上昇に伴って形成された「潟湖」かもしれません。
【記事・引用情報・参考情報】

【記事】

  • 小笠原諸島の中で,有人島は「父島」と「母島」しかありません。大小数百の島々は,全て無人島です。ガラパゴス島などと同様に,大陸と繋がったことのない島なので,動植物の固有種が多いと言う特徴があります
  • 地質学上も,マグネシウムの多い安山岩(無人岩:ボニナイト)や,海中に噴出した溶岩が急速に冷却されてできたガラス片の集合体(ハイアロクラスタイト:水冷破砕岩)などが存在しています。。

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