東京都:八丈島(八丈島火山群)
地形の特徴

活火山,火山地形,カルデラ,溶岩流,火砕流,海食崖

地形と地質の三次元イメージ : 八丈島
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

「八丈島」は,西山(新)と東山(旧)という,二つの火山からなる火山島です。
東山(三原山)の方が古く,今から約10万年前に活動を開始し,停止したのが約4千年前と言われています。
西山(八丈富士)の方は断然新しく,今から約1万数千年前に活動を開始し,最終活動は1605年(慶長10年)です。
地形と地質の三次元イメージ : 東山(三原山)

活動時期が古いため,侵食による小さな谷(ガリー)が無数に発生しています。
「西白雲山」から「東台子山」へと続く半円形の「リム地形」は,複数回噴火した際にできた「カルデラ壁」とされています。
最高点の「三原山」を含む山頂カルデラは,約2万年前に噴火した「三原カルデラ」と呼ばれています。
大きな特徴は,比高の大きな「海食崖」を伴っていることです。
なお,「洞輪沢(ぼらわざわ)」の半円形の湾は,マグマあるいは溶けた溶岩が海水と接触して発生した水蒸気爆発の跡です。

東山の地形を詳細に眺めると,随所に噴火口(二次的含む)地形が存在します。
「横間ヶ浦」に存在する大きなカール状地形は,水蒸気爆発による「爆裂火口」と言われています。
そのすぐ後ろにある衝立状の尾根も「崩壊崖」と言われていて,かつては巨大な火口壁だったのかもしれません。

落差約36mの「唐滝」は,「三原カルデラ」へと延びた「唐滝川」の源頭直下,標高約400mに存在します。
「三原滝」を有する三原川と共に,三原カルデラの流出口なので,いずれは三原カルデラを開析し尽くしてしまうでしょう。
地形と地質の三次元イメージ : 西山(八丈富士)

「西山(八丈富士)」も一回の噴火でできた火山ではなく,大きく分けて4段階の噴火ステージによって,現在の形になったようです。
「神止山(かんどやま)火山」などは,最も古い年代の噴火口です。
その後,西山の基礎を作った火山が数度噴火して,直径2km程の火口(カルデラ)を形成し,
更に,現在の山頂を作った新期火山が噴火した,という説が有力です。

「西山(八丈富士)」の基礎を形成しているのは「千畳敷ステージ溶岩」と呼ばれている溶岩類で,西山の全周に分布しています。
その後に噴出した「大越ヶ鼻溶岩群」は,西山のほぼ西側半分の面接を占めるほど広く流出しました。
これ以後の活動では,部分的な溶岩流の噴出に留まったようです。
山頂噴火は「赤崎溶岩」が最後で,これ以後は西山の東側山腹での活動(噴出)へと移行しました。
注 ただし,最も新しい活動は,西山の山頂火口内で確認された溶岩で,これは火口の外には流出しなかったようです。

活動時期が新しい西山(八丈富士)は,本物の富士山と同じく成層形です。
しかし,真横から写した写真や地形断面図を眺めると,標高500m~600mあたりに「傾斜変換点」を認めることができます。
ここが,旧期火山と新期火山の境界になりますが,新期火山からの噴出物(溶岩・火山砕屑物)に覆われていて,
地表を眺めているくらいではわかりません。
二重火山である仮説を立証するには,深部までの物理探査とボーリング調査が必要でしょう。
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