新潟県:渋海川と越道川の環流丘陵群と瀬替え
地形の特徴

穿入蛇行,蛇行切断,環流丘陵,瀬替,蛇行人工切断

【記事】
  • 「渋海川」と支流の「越道川」は,第四紀更新世中期の堆積岩である,「魚沼層群」の真っただ中を貫流しています。
  • 魚沼層群は,「海域(海底)」または「汽水域(潟湖底)」あるいは「淡水域(湖底)」における堆積岩です。
    年代が若いため「未固結」の状態にあります。
  • 河川の侵食,特に「側方侵食」に弱いと考えられ,河床勾配の緩さもあって多くの「(穿入)蛇行」が形成されました。
  • 渋海川流域では,「蛇行切断」が発生して「環流丘陵」を形成した蛇行(曲流)の割合が多い,という特徴があり,本ページで紹介した環流丘陵は,推定を含め26箇所にも及んでいます。
地形(標高段彩図)と地質の三次元イメージ : 渋海川(しぶみがわ)下流部
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

「渋海川(しぶみがわ)」の源流は,新潟・長野県境の「三方岳(1139m)」の北斜面です。
渋海川の最大の特徴は, (「穿入)蛇行」と「環流丘陵」が極めて多く存在することです。
中には,「河成段丘面」ごとに環流丘陵が形成されている,ケースも存在しています。
これは,流域の地質が更新世中期の堆積岩「魚沼層群」と軟らかい上に,河床勾配の緩さも関係しているのかもしれません。
いずれにしても,本図の範囲内には実に9箇所もの環流丘陵が存在しているのです(全て推定ですが)。

「地点A」は,「中位段丘面」を「古渋海川」が流れていた時の尾根の末端面と思われます。
その後,大地の隆起によって新たな「穿入蛇行」が始まり,長い年月が経過して蛇行が切断されました。
切断によって残された尾根の一部が,「環流丘陵(地点B)」となったのでしょう(想像です)。
地点Aと地点Bは,元々同じ尾根の一部であって,その尾根は「渋海川」の対岸の尾根から延びていたと考えています(想像です)。
一方,「地点C」は,古渋海川が地点Aよりも高位の段丘面を流れていた時の尾根の末裔と考えられます。
この末裔(環流丘陵)が,地点Aに繋がっていたのか,地点Bに繋がっていたのか,などについては正直わかりません。
地形(標高段彩図)と地質の三次元イメージ : 渋海川中下流部
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前図の上流域になる本図の範囲においても,「(穿入)蛇行」と「環流丘陵」はほぼ連続して形成されており,環流丘陵は6箇所も存在しています(推定)。
地質図では,環流丘陵の多くが,後期更新世前期(約100万年前)に形成された「段丘面」であることを指摘しています。
新潟県の資料によると,「地点M」と「地点N」の環流丘陵は,「瀬替え」による人工的なものです(詳細後述)。

「地点J」の環流丘陵は,地質図に記載されている段丘面よりも古い年代に形成されたものと想像します。
旧河道の流入口?と流出口?の部分は,蛇行切断後の下刻侵食によって,小さな谷ができているくらいです。
「地点I」の環流丘陵が,年代的に最も新しいと思われます。 旧河道が「三日月湖(河跡湖)」となって残っています。
この環流丘陵は,「瀬替え(人工切断)」の可能性がありますが,残念ながら,これに関する情報に接していません。

本図に示した「赤い丸」は,新潟県の資料に掲載されている「瀬替え」箇所です。
「注1」に示す「蛇行跡」を含め,連続する4箇所の「穿入蛇行」が切断されたことがわかります。
これによって,河道が直線化したため,この区間の洪水は減少したことでしょう。
ただし,「地点M」と「地点N」の環流丘陵の場合,環流部の最高点と現河道との間には25m程の標高差があります。
瀬替え時点で,この場所に渋海川が本当に流れていたのか,検証が必要と思われます。
地形(標高段彩図)と地質の三次元イメージ : 渋海川中上流部
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新潟県の資料によると,「地点M」~「地点S」の各環流丘陵は,「瀬替え」による人工的なものです(詳細後述)。。

本図に示した「赤い丸」は,新潟県の資料に掲載されている「瀬替え」箇所です。
「注」に示す「蛇行跡」を含め,連続する5箇所の「穿入蛇行」が切断されたことがわかります。
「地点S」の環流丘陵の場合,環流部の最高点と現河道との間には10m弱の標高差があります。
瀬替え時点で,この場所に渋海川が本当に流れていたのか,検証が必要と思われます。
地形(標高段彩図)と地質の三次元イメージ : 渋海川上流部
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本図の範囲では,「河成段丘面」が無くなりますが,地質が「Se3」から「Se2」へと変化していることの影響と思われます。
これにより,「穿入蛇行」も少なくなっていますが,「地点U」と「地点V」と言う二つの「環流丘陵」が形成されています。

「地点U」と「地点V」と言う二つの「環流丘陵」は共に「切断幅が狭い」と言う特徴があります。
「瀬替え」が行われたのでは,と想像しますが,情報に辿り着いていません。
地形(標高段彩図)と地質の三次元イメージ : 越道川(こえどがわ)下流部
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渋海川の有力な枝谷である「越道川」や「未詳川」は,共に第四紀後期更新世前期(約100万年前)の中を流れています。
渋海川の上流で枝谷となったことで水量が減り,その結果,振幅(蛇行の奥行き)と周期(蛇行幅)が小さくなっています。
その中に,1箇所の「河川隧道」による「瀬替え」が2箇所と,開削による瀬替えが1箇所存在しています。

「地点Y」は「環流丘陵」と思われます。 現在は,合流後の未詳枝谷が流れているだけですが,
渋海川と越道川が合わさった水量によって「穿入蛇行」が形成されたものと思われます。
「地点①」は,「河川隧道」による「瀬替え」の場所です。
しかし,1/3程が「三日月湖(河跡湖)」となっていることから,どれほどの農地が生まれたのか,疑問に思います(費用・労働対効果)。

「地点②」は「開削」による,「地点③」は「河川隧道」による「瀬替え」の場所です。
「地点②」の工事により「地点Z」が「環流丘陵」となったのか,既に環流丘陵となっていたのか,はわかりません。
注 越道川流域に5箇所の「環流跡」が存在します。 以上のような努力の跡を考えると,これらも「瀬替え」によってできた地形の可能性があります。
【記事,引用情報と参考情報】

【記事】

  • 本ページで使用している「下流部」や「中下流部」などは,説明の為の仮用語であって,渋海川の実際の範囲を示しているものではありません。
  • 「瀬替え」が行われたとされる「穿入蛇行」の環流部分について,地形的には「中位段丘面」と「低位段丘面」の両方が存在します。
  • 瀬替えの対象となるのは,工事後に低位段丘面となる場所であって,中位段丘面はすでに切断されているはずです。
  • 従って,中位段丘面に対する瀬替えとは,新たな開削工事ではなく,自然に切断された河道を直線状に改修した工事,と考えられます。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】