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独自編集による「地学用語」検索サイト について |
序 「歌は世につれ、世は歌につれ」とか、それをもじった「人は世につれ、世は人につれ」という言い回しもあります。ある時代によく歌われた歌は当時の世情を反映しているとか、世の中の変化に応じて歌や人も変化し、逆にそれらの変化を反映して世の中も影響を受けるといった意味合いです。地学用語もまたしかりと考えられます。兵庫県南部地震によって「活断層」、雲仙普賢岳の噴火によって「火砕流」という用語が、良くも悪くも広く世間に知られるようになりました。反面、すでに東京地學協會編(1914)『英和 和英 地學字彙』の序文で当時の地質調査所長であった井上禧之助が「術語の一定せざるは学術進歩の一大障礙なり、地学に関する諸書を通覧するにこの弊また尠なからず、同一の語にして意義異なるものあり、意義同じくして術語の異なるものあり往々誤解を生ぜしむ」と述べているのもむべなるかなです。 そこでここでは、おもに従来の地学事典等であまり取り上げられていなかった地学用語を中心に一般向きにわかりやすくかつ面白く解説しようとするのが主旨です。特に学術的に定義や語彙が確定していない、あるいは変遷している用語もその旨記して積極的に提示して理解を深めていただこうとするものです。異論・異説がある場合は、併記し、「ウキペディア」式にどんどん改善していくつもりです。その意味で会員諸氏からの積極的な投稿が望まれます。どなたもご遠慮なくご指摘またご投稿ください。 具体的には、まず日本地質学会編(2004)『地質学用語集-和英・英和-』(共立出版,440p.)に項目が掲載されていますが、地学団体研究会編(1996)『新版地学事典』(平凡社)などの事典類に掲載されていない項目に留意し取り上げることにします。一方、地質関連事典・辞典等にすでに掲載されている用語であってもしょうこりもなくマスコミなどで繰り返される誤用例等も示し、注意を喚起するものもあります。さらに、いまさら人に聞けない死語的な、しかししょうこりもなく未だに一部業界で使われている用語も含みます。また、狭い専門分野の研究者にとっては自明に近い用語でもGUPI関係者にとってはなじみが無いものも理解を深めるために取り上げます。 ところで、事典・辞典を編纂しても読んでもらえず無視される、あるいは引いてもらえず使われなければ意味がないので魅力的な記述を工夫する必要もあります。有名な事例として三省堂刊行の『新明解国語辞典第三版』(1987)での「恋愛」の項目説明があります。「特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、出来るなら合体したいという気持を持ちながら、それが、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる(まれにかなえられて歓喜する)状態」と記述されて注目を浴びました。ちなみに地学用語解説集にもかかわらず「同一の語にして意義異なる」地学用語でないものもあります。もっともこればかりだとどういうわけか怒る読者もいそうなので、生真面目な解説が不可欠な用語は記述の分量を始め全体の不統一を恐れず素直に書きます。ともかく本解説集は会員各位と双方向での活動強化・情報共有を図るためのものですが、広くは一般社会への地学リテラシー向上を目指すものです。いずれにしても皆様のご協力を強く望む次第です。 (文責 加藤碵一,2015年) 参考書籍 お断り |
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