轟壕(トドロンガマ・トルルシガマ・トロドンガマ);糸満市伊敷
写真撮影:2016年11月

石段の先にある小さな穴が轟壕の坑口。 轟壕は深さ10m,直径30mほどのドリーネの底にあります。

轟壕の坑口。 地下水をくみ上げるためのパイプが付設されています。 その坑口には,佐藤特高課長が居たという,ガマが口を開けています。

修学旅行の一環の平和教育で,壕の中に入る関東地方の高校生。 
持参する懐中電灯が少ないようですが,真っ暗闇を体験させるためでしょうか。

石段の途中に設けられている祭壇。 その右は余り奥行きの無いガマ。
「とぅるるち」とは,ゆっくりお休み,という意味だと思いますが,よくわかりません。

ドリーネの底には所々ガマが口を開けています。

(上)ドリーネ(轟壕)への入口です。  (下)ドリーネの底から入口を撮影しました。 「轟壕」へと続く階段が写っています。
記事

・轟壕の中には川が流れており,平和教育のために入壕する高校生が多いので,洞内水はポンプアップされています。
 轟壕の中にある川の水は,糸洲の壕(ウッカーガマ)から流れ下ってきているので,狭い鍾乳洞で連結されているようです。

・諸資料を総合すると,当初は,伊敷集落などの地元住民が避難するために用意してきた壕でした。
 戦闘が激しくなるにつれ,割り込んで来た軍人が武力によって壕内の乾燥部分を占拠し,地域住民は川の下流部分の湿地帯に押し込められたそうです。

・修学旅行の平和教育で入壕する生徒が多い壕ですが,写真を見る限りヘルメット無しで入壕しているようです。
・入口に柵や鍵は無く,誰でも自由に入れるようですが,照明は無いのでヘッドライトか懐中電灯は必携です。

地下壕の概要

・規 模:長さ約100m
・形 態:鍾乳洞
・使用者:地域住民,県庁関係者,警察関係者,陸軍
・遺 品:
・土 質:琉球石灰岩

関連情報

① 「轟壕<カーブヤーガマ>」,沖縄の戦跡ブック『ガマ』,pp.98~99.,沖縄県高教組教育資料センター編集,2009年,ISBN978-4-903042-16-9
② 「轟の壕」,沖縄の戦争遺跡,pp.44~45,沖縄県平和祈念資料館編集,2007年,ISBN978-4-903042-14-5
③ 「5 轟壕〔トドロンガマ・トルルシガマ・トロドンガマ〕」,三和地区ガマ解説 ※詳しい見取り図の閲覧が可能です。
④ 轟の壕:沖縄県戦争遺跡詳細分布調査(Ⅰ)―南部編―,沖縄県立埋蔵文化財センター調査報告書第5集,pp.24-25.,2001