四国霊場と同じ霊験が 類型:神仏
  越後八十八ヶ所(えちごはちじゅうはちかしょ) 新潟県糸魚川市
【奇岩の写真】

「月不見の池」遊歩道からの小立岩。

越後八十八か所遊歩道の地獄谷付近。
【いわれ,特徴,エピソード等】
  • 鬱蒼とした森林に奇妙な形をした巨岩が累々と横たわり,異様な空間が広がります。
  • ここに,人々がわざわざ四国まで出かけなくとも平和で幸せな人生を願うことができるようにと,1866(慶応2)年,玉瑞和尚によって,越後八十八ヶ所が作られました。
  • 88体の石仏は,巨岩と巨岩のすき間や巨岩の割れ目などに安置されており,それぞれの石仏の下には四国の寺から持ち帰った土砂が敷いてあるとされています。
  • 八十八ヶ所の散策道は延長2kmにおよび,岩と岩の隙間をくぐったり,岩の天然橋を渡るなど,自然の地形を巧みに利用して作られています。
  • かつての八十八ヶ所の参拝の道は,ジオパークの散策道として新たに整備され,巨岩と信仰,森林に対する往時の人々の思いを感じることができます。
  • 巨岩地域の中には,藤の花の名所である「月不見の池」や「牛池」,「細池」などの湧水池があり,縄文時代からつづく水源地として今も利用されています。
【地形と地質の三次元イメージ】


5万分の1地質図幅『糸魚川』(出典,下記)

【奇岩周辺の地形と地質】

  • 「八十八ヶ所」とされる場所は,有史以前に発生した巨大な地すべりによって移動して来た,「移動体」が堆積している場所の末端部に近い一部の範囲です。
  • 「八十八ヶ所」を含む「地すべり移動体」の範囲は,「高谷根」・「谷根」や「月不見池」を含み,最大の長さが約2km,同幅は1.5kmにも及ぶ広大な範囲です。
  • その範囲内に,直径が100mを超える「凹地(窪地)」や,まるで,「流れ山」のような「凸地(丘)」が存在しています。

【奇岩の特徴】

  • 5万分の1地質図幅『糸魚川』によると,奇岩の地質は,「UM:海川層」と名付けられた「安山岩の火山砕屑岩」です。
  • 具体的には,新第三紀鮮新世(約300万年前頃)に,海底で活動した火山の噴出物で,岩石名では「安山岩質凝灰角礫岩や同火山角礫岩」です。
  • もともとフォッサマグナの海底にたまった「根知層」と言う「海成泥岩層」の上に広がっていた海川層が,隆起して山地になる過程で発生した「巨大地すべり」によって,壊されながら運ばれて現在の場所に堆積したのです。
  • 従って,現在活動中の地すべり地ではありません。
【記事,引用情報,お断りなど】
【記事】
  • 「越後八十八ヶ所」の順路上に「月不見池」はありません。 両者は,同じ「地すべり移動体」の中にあります。
【引用情報】
【参考情報】
【お断り】
  • 奇岩の位置については,地図検索のページをご覧ください。
  • 旧版において掲載していた「周辺のジオサイトや観光地」と「交通概況」については,情報が陳腐化してきたことから削除しました。 メジャーな検索サイトのご利用をお願いします。
【奇岩の位置座標】

座標データ: 137.9472473 : 37.0267651