巨大なヒスイの岩塊 類型:自然
  青海川(おうみがわ)のヒスイ 新潟県糸魚川市
謂われ,特徴,エピソード等

 渓流に磨かれた良質な巨大ヒスイ岩塊であり,水量が少ない時には,人が乗って間近に観察できるものです。 凹凸のある角張った外形を示しながらも滑らかな岩肌であり,白・緑・紫などの色が着いた,典型的なヒスイの特徴をもっています。

 ヒスイは古来より,装飾品や威信財として権力者・有力者に珍重されてきました。 縄文時代中期には,糸魚川でヒスイ製大珠が加工され,世界最古のヒスイ文化が誕生しました。 大珠や勾玉などヒスイ製玉類の形態やその使用は原始日本人の精神文化をさぐる資料でもあり,極めて人間との関わりの深い石です。

 ヒスイは糸魚川ジオパークを代表する石でもあります。

 小滝川と青海川からのヒスイ発見(それぞれ1938年,1955年,ともに国指定天然記念物)と長者ヶ原遺跡と寺地遺跡の発掘調査(それぞれ1954年,1967年)によって,日本各地の遺跡から出土するヒスイは,糸魚川産であることが実証されました。

地形・地質の概要

 ヒスイは,ヒスイ輝石やオンファス輝石からなる変成岩とされています。

 青海川流域には蛇紋岩が広く分布し,ヒスイは,結晶片岩・変はんれい岩などとともに蛇紋岩中のブロックとして産します。

 青海川の水流によって,長い年月の間に蛇紋岩の中から比重の大きいヒスイが洗い出されて河床に集積し,ヒスイ峡が形成されました。


糸魚川市青海川ヒスイ峡遊歩道から撮影
奇岩近傍の三次元地形イメージ

「青海川」の硬玉産地付近には,古生代オルドビス紀~シルル紀(4億年以上)の「超苦鉄質岩類」が分布しています。
「超塩基性岩類」と同義のこの岩石は,マントル由来の「かんらん岩」あるいは「斑れい岩」なのですが,
実際には「水」の作用により,「蛇紋岩」へと変化しています。 この岩石中に「硬玉:ヒスイ」が混入しているのです。
周辺のジオサイトや観光地
糸魚川ユネスコ世界ジオパーク
 この奇岩は,糸魚川ジオパークを構成する「4.青海川ヒスイ峡 - ヒスイに関係の深いジオサイト」に含まれるジオポイントの一つです。
 糸魚川ジオパークのエリア内には,この他に「とっとこ岩」,「越後八十八ヶ所」,「奴奈川姫の産所」と「鳴り岩」が奇岩に選定されています。
☆日本の地質百選

 この奇岩は,日本の地質百選(小滝・青海川ヒスイ峡)に選定されています(地質図が掲載されています)。
☆観光地
 寺地遺跡,親不知ピアパーク,親不知・子不知,など
☆観光コースの例
 寺地遺跡 → 青海川ヒスイ峡 → ラベンダービーチ(青海海岸)
交通概要(公開時の情報)
  • 鉄 道: 北陸新幹線「糸魚川駅」下車。タクシーで約30分かかります。
  • 自動車: 北陸自動車道を「糸魚川IC」,あるいは「親知不知IC」を経由し,国道8号を「青海」まで走行し,青海川に沿う県道155号を「橋立」まで走行してください。
引用情報,お断りなど

【引用情報】
 ・国土地理院 > 地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)  国土地理院利用規約

【お断り】
 ・奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。地形図については,地図検索のページをご覧ください。

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