昔は生活の場であったという 類型:歴史
  抜海岩(ばっかいいわ) 北海道稚内市
謂われ,特徴,エピソード等

 現在は稚内市となった旧抜海村の抜海漁港のすぐ後に,この奇岩はあります。
 丸く草の生えた小山の上にこの奇岩が乗っているのは,ちょっと異様な光景です。

 バッカイとはアイヌ語で「子を背負う・もの」という意味ですが,この奇岩の名がそのまま村名になつた,と言われています。

 「抜海岩」の下には「海食洞」があり,先史時代の遺跡があることがわかっていました。
 昭和38年に行われた発掘調査で,オホーツク土器,擦文式土器や続縄文式土器などが確認されました。
 現在では,稚内市により「抜海岩陰遺跡」として指定されています。

地形・地質の概要

 新第三紀後期更新世(約1万8000年前)以後に堆積した「礫岩」・「砂岩」です。

 塊状の硬い地層が地表近くにあったため,侵食が進むにつれ硬い部分の周辺が剥離落下して堆積し,次第に奇岩より下の丸い小山状の部分が形成されたのでしょう。
 堆積した部分-デブリ-は,小さな岩片のため植物が生え,最終的には土壌になります。

 アリゾナの砂漠に-規模は違いますが-,類似の形をした岩山を見ることができます。

周辺の観光地やジオサイト

☆観光地

  • サロベツ原野:奇岩の南方20km~30kmに広がる,宗谷丘陵と海岸砂丘に挟まれた泥炭性の湿地です。 2005年11月にラムサール条約に登録されました。 原野は,上・下に区分されますが,下サロベツ原野は「利尻礼文サロベツ国立公園」の特別保護区域に指定されています。 湿地の他にはペンケ沼,パンケ沼や長沼などが点在しています。
  • ノシャップ岬:稚内市のすぐ北にある岬です。アイヌ語の「ノッ・シャム」が語源で,岬が顎のように突き出たところ,といった意味があるそうです。 晴れた日には,利尻富士や礼文島を遠望することができます。
交通概要(公開時の情報)
  • 鉄 道:JR宗谷本線抜海駅下車ですが,徒歩で約40分かかります。抜海駅は,各駅停車のみで,運行本数は1日に3本から4本です。 なお,バスの便はありません。
  • 自動車:国道40号(天塩国道)を幌延町下沼まで進み,左折して道道972号に入り道道106号(オロロンライン)に達します。 右折して,約25kmで抜海岩に達します。
     オロロンラインはサロベツ原野の海側を通っています。
引用情報,お断りなど

【引用情報】
 ・国土地理院 > 地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)  国土地理院利用規約

【お断り】
 ・奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。
  地形図については,地図検索のページをご覧ください。


 抜海岩の近景。動物が吠えているようにも見えます

抜海漁港からの抜海岩

抜海岩の全景
奇岩近傍の三次元地形イメージ

「野寒布岬」の日本海側の付け根にある「西浜地区」付近から,はるか南の「オタコシベツ川」の河口付近まで,長大な「砂浜海岸」が続いています。
単調とも思える砂浜海岸にも,所々には地形の変化があって,ここ「抜海漁港」の場所では,名前の無い?小さな岬が外洋に向かって突き出ています。
それは,「周氷河地形」である「(仮称)抜海丘陵」が,日本海に向かってせり出しているためなのです。
「抜海岩」は,この抜海丘陵の足下にあります。
 この奇岩は,「差別侵食」の結果なのか,何らかの理由で転がってきたのか,など全くわかりません。
Powered by GeoInformation Potal Hub(GIPH),2020(2022/12 改訂)Lightbox Plus