神が矢の的にして穿ったという穴です 類型:伝説
  的石(まといし) 熊本県阿蘇市的石
1.謂われ、特徴、エピソード等
 阿蘇の開拓神である健磐龍命(たけいわたつのみこと)が弓矢の練習の際に的にした岩といわれ、巨大な岩の上部には弓矢の刺さった跡とされる穴があります。
 伝説の中で、健磐龍命は的石に向かって矢を放つがなかなか当たらず、落ちた矢を家来の鬼八に拾いに行かせていました。 100回目に放った矢も的に当たらなかったので、怒った鬼八は、矢を足で投げ返しました。 そのことに健磐龍命は腹を立て、鬼八の首をはねたといわれています。
 その後、鬼八の恨みで阿蘇地域は霜が多く降るようになったので、霜宮を建立し、鬼八の怒りを鎮める祭りを行うようになったとされます。
 霜宮の祭りでは、今でも的石から薪を運ぶ行事が残っています。
2.地形・地質の概要
 東西約18km南北約25kmにも及ぶ巨大な阿蘇カルデラは、4回にわたる大規模な火砕流噴火によって形成されました。 最も古い火砕流は約30万年前に噴出した阿蘇第1火砕流で、最も新しい火砕流は約9万年前の阿蘇第4火砕流です。
 火砕流はカルデラを囲む外輪山の外側に堆積しており、斜面の傾斜が緩やかなのが特徴です。 一方,外輪山の内側は、陥没のために斜面の傾斜が急になっており、これらの火砕流が噴出する以前から活動していた「先阿蘇火山岩類(220万年前~45万年前:中期更新世:輝石安山岩や凝灰角礫岩)」が地表に現れています。
 的石は,西側の外輪山内側の急崖下部に位置しており、先阿蘇火山岩類の「凝灰角礫岩」に分類されるようです。
 凝灰角礫岩は、火山灰を主体として火山岩塊や火山礫を含む火砕岩の一種ですが、一般的に風化しやすく、崖の部分では角礫が抜け落ちやすい、と言った性質があります。
 的岩(穴)の部分は、恐らくある程度纏まって抜け落ちた結果であろうと推測されます。
3.周辺のジオサイトや観光地
阿蘇ユネスコジオパーク
 ★的石は、標記ジオパークの「二重峠ジオサイト」を構成するジオポイントとして紹介されています。 二重峠とは、的石にも出てくる健磐龍命が、外輪山を蹴破ろうとしても二重のためできなかった、という神話が基になっているそうです。
☆阿蘇八石伝説
 1.箱石(はこいし): 一宮町坂梨: 国道265号の箱石峠の左山手にある、高さ7mほどの重箱を三段重ねたような石です。 この箱石に行者が家内安全や牛馬安全のお経を入れてお祈りをすると、石と石の間が開いてお経が取り出せたと言われています。
 2.疣石(いぼいし): 一宮町坂梨: 国道57号K滝室坂の下にある大石で、上部にある凹みに溜まった水をいぼにつけると、いぼがとれたと言われています。
 3.鷲の石(わしのいし): 阿蘇市山田: 字鷲の石の上方の杉山の中にありますが、その形からみて、呼び名でなく実際に鷲が住んでいたためではないか、とのことです。
 4.鼻ぐり石(はなぐりいし): 阿蘇市湯浦: 内牧湯浦の原野にある大石で、牛のはなぐりを通すような穴があるため、このように呼ばれています。
 5.的石(まといし): 本奇岩のことです。
 6.硯石(すずりいし): 阿蘇山上: 旧火口登山道路右の尾根にある大石です。頂部の凹みには常に水が溜まっていて、日照りのときにも干上がらず、その水で目を洗うと眼病が治ると言われています。
 7.鏡石(かがみいし): 阿蘇山上: 阿蘇山上神社本堂の前に鎮座する黒い鏡のような石です。 ガラス質の黒曜石でできています。
 8.境石(さかいいし): 阿蘇市・高森町: 阿蘇連山の高岳(1592m)にあります。
☆観光地
 ★阿蘇カルデラツアー: 阿蘇温泉観光旅館協同組合に加盟している宿泊施設21軒と、乙姫ペンション5軒の計26軒に宿泊したお客限定のツアーで、地質的には「ジオガイドと行く阿蘇火口トレッキング」などが適当でしょう(実施期間などは要確認です)。
 ★ASO田園空間博物館: 四季折々の阿蘇の魅力を満喫するための、地元案内人による地域散策イベントなどを開催しています。
4.交通
 ☆公共交通
  
鉄道: JR九州豊肥本線市ノ川駅下車。 注 2016年12月現在、地震の影響で熊本方面の「肥後大津」~「阿蘇」間は運休です。
  バス: 熊本発の九州産交バス、熊本空港、大津駅経由大分行きのやまびこ号に乗車し、「赤水駅前」下車。 一日に7往復あります。 赤水駅から的石まで約3kmです。
 ☆自動車
 「大分自動車道」の日田ICで国道212号に入り、杖立温泉、小国町経由で大観峰まで。更にカルデラ内に入り、内牧温泉で県道149に入り赤水方面に進みます。 約6.5km行くと的石の案内板があります。

的石の近景。 
地図と写真の操作方法はこちら  奇岩の位置についてはこちら
6. 奇岩の地図
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