落ちそうで落ちない 類型:伝説
  鯖くさらかし岩(さばくさらかしいわ) 長崎県時津町
奇岩の写真

さばくさらかし岩の近景

さばくさらかし岩の遠景
いわれ、特徴、エピソード等

 アニメ「まんが日本昔ばなし」にも取り上げられたことのある、つぎのような話が伝わっています。
  『ものぐさな百姓がいました。ある日、漁をすると、たくさんの鯖が釣れました。
 百姓は長崎へ、鯖を売りに行くことにしましたが、街道の途中に今にも落ちそうな岩があったので、「おっちゃけてから行こたい(岩が落ちてから街道を進もう)」と決めて、岩が落ちるのを待っているうちに鯖は腐ってしまいました。
 百姓ががっかりしていると、通りかかった村人が「この岩は落ちることはないんじゃ、それを知らなかったのはものぐさなお前だけじゃ」と笑いました。』

 長崎県では有名な話です。 江戸時代、狂歌師蜀山人(本名、大田南畝)が
 『岩角に たちぬる石を みつゝおれば
     になへる魚も さはくちぬべし

と詠んだことで、一躍有名になりました。

 その形と場所(時津町継石地区)から、「継石坊主(つぎいしぼうず)」と呼ばれることもあります。

地形・地質の概要

 大村湾に注ぐ時津川中流部にある、高さ約20mの細長い巨岩の上に、直径約7mの球状の岩が乗っており、下から見ると今にも落ちそうに見えます。しかし,調査によると、この二つの岩は繋がっていないそうです。

 地質は新第三紀の火山角礫岩(角閃石安山岩質といわれている)で、風化作用によって残された岩が、こけしのような形になりました。

奇岩近傍の三次元地形イメージ

 大村湾の最奥部である「時津港」の背後の地質は,新生代新第三紀中新世(約700万年前頃)~鮮新世(約500万年前頃)の「安山岩」や「流紋岩」などです。 これらを「時津火山岩類」としてまとめている資料も存在します。
 本ページの地形・地質蘭に,この岩の地質が「角閃石安山岩質」とあるので, 時津火山岩類の資料を参照すると,更新世に活動した「長崎火山岩類」で,溶岩柱のように非常に硬い性質の岩石と思われます。
周辺のジオサイトや観光地

☆観光地
 ★お茶屋跡:諸大名の休憩所跡として往時がしのばれます。 徒歩約10分です。
 ★二十六聖人上陸の地:慶長元年に長崎西坂刑場で処刑されたキリシタン26人が上陸した跡地です。 徒歩約10分です。

交通概況

☆鉄道
 JR九州「長崎駅」で、長崎バス「茂木-溝川線」の「溝川」あるいは「時津」行きに乗車。 25分ほど乗車した「継石」で下車するとすぐそばでます。
 このバスはJR九州「道ノ尾駅」を経由しますが、道ノ尾駅は各駅停車しか止まらないので、長崎駅からの方が便利です。

☆自動車
長崎バイパスの「川平ジャンクション」で川平有料道路に入り、終点の「井出薗」ICまで走行します。
 一般道に出た所の「井出薗交差点」の右手方向に、この奇岩があります。

引用情報,お断り

【引用情報】
 国土地理院 >
   地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)
   国土地理院利用規約

【お断り】
 奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。
 地形図については,地図検索のページをご覧ください。