天狗が土石流を知らせるという 類型:伝説
  明神壁(みょうじんへき) 石川県白山市
奇岩の写真

冬の明神壁

春の明神壁
いわれ,特徴,エピソード等

 壁と名がついていますが,広い壁面というよりは突出した岩山という雰囲気です。
 頂には明神さまの祠があります。
 明神壁には天狗が住んでおり,ことが起こった時には太鼓を鳴らし,ふもとの集落に逃げるように知らせる,という伝説が残っています。

 実際に集落の裏側の谷は土砂災害警戒地で,天狗の太鼓の音には,土石流などの災害が連想されます。

 ふもとから特異な姿が見えるので,地域の中で注目される存在となり,地形的な要因も含めて伝説が作られたようです。
 人と大地とのつながりを感じます。

 晴れた時の明神壁頂部からの景色は絶景です。
 手取川の流れと,その両岸に広がる河岸段丘,谷あいの奥にひかえる白山を望むことができます。

地形・地質の概要

 新生代新第三紀,日本海拡大期の火山活動で形成された火砕岩と考えられます。

 形成過程は不明ですが,おそらく差別浸食によって,周辺の山並みから突出した形でふもとからでも目立つ姿となっています。

 編集部注:産総研・地質調査総合センター発行の「1/20万 シームレス地質図」によると,この場所の地質は,新生代新第三紀中新世(約1,700万年前頃)のデイサイト~流紋岩の「溶岩・火砕岩」です。

奇岩近傍の三次元地形イメージ

 「明神壁」に向かって左側の集落「若原町」は,ほぼ全域が「土砂災害警戒区域(土石流)」の指定区域です。
 「いわれ」があるということは,過去に土石流が発生したことがあったのかもしれません。
 なお,明神壁ですが,うっそうとした森に囲まれているため,ここに岩塊状の凸地があることは極めて分かりづらいと思われます。
周辺のジオサイトや観光地

白山手取川ジオパーク
 この奇岩は,白山手取川ジオパークの「川と峡谷のエリアの明神岩」を構成するジオサイトです。
  同じエリア内には,登録奇岩の「夫婦岩(めおといわ)」,「手取峡谷」,「弘法の池」や「板尾不動滝」などのジオサイトがあります。

☆観光地
  手取峡谷:日本屈指の急流河川
  御仏供スギ:国指定天然記念物,日本の名木百選
  鳥越城跡附二曲城跡:
    一向一揆の歴史を伝える国指定史跡,など。

交通概況

☆鉄道
 北陸鉄道鶴来駅下車。 加賀白山バス「白峰線」や「河原山線」などに乗車し,約20分の若原で下車後,徒歩約5分で明神壁の登り口に到着します。
 明神壁の頂までは,登り口から約40分かかります。
 なお,「白峰線」は金沢駅が始発ですが,運航本数が少ないのでご注意ください。

☆自動車
 北陸自動車道「小松IC」を経由し,国道360号から国道157号に入り,鶴来町の通過後,白山市河内町江津で江津橋を渡り,県道44号を左折してまもなくの白山市若原町地区です。

引用情報,お断り

【引用情報】
 国土地理院 >
   地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)
   国土地理院利用規約

【お断り】
 奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。
 地形図については,地図検索のページをご覧ください。