日本最大の流出岩 類型:自然
  百万貫の岩(ひゃくまんがんのいわ) 石川県白山市
奇岩の写真

百万貫の岩の近景

百万貫の岩の遠景
1.いわれ,特徴,エピソード等

 白山市白峰集落の上流約6kmの手取川(牛首川)河床にある巨大な転石です。
 昭和9年 (1934年)年7月に起きた手取川大洪水の際に,上流の宮谷川より土石流として流出したと考えられています。

 大きさは19.175m×16.160m,体積は1,890立方メートル,質量は4,839t(約129万貫)と算定され,流出岩塊としては,日本最大級の規模でしょう。

 白山地域は,急峻な地形に加え,冬期の多量の積雪やその融水など,地滑りや土石流の発生しやすい自然条件があります。
 昭和9年の手取川大洪水では,梅雨前線による記録的豪雨と残雪に伴う融水により,死者・行方不明者112名,流出家屋172戸,流失などの家屋437戸,埋没耕地2113町歩など,石川県洪水災害史上最大級の大水害となりました。

 その際の大出水は,宮谷川上流の巨大岩塊を手取川に押し流し,土石流の終着地に百万貫の岩を誕生させました。
 今も見るものを圧倒するその姿は,当時の土石流の凄まじさを物語ります。
 白峰百万貫の岩は,未曾有の大惨事を後世に伝える水害記念として,また,水害の規模を如実に示す資料としても極めて貴重で,石川県の天然記念物に指定されています。

 百万貫のいわれは,当時としては,実際の重さというよりも,とてつもない大きさのもの,という無限大の重さを意味するような名前として,地域の中でつけられています。

 参考資料:うらら白山人(白山市観光連盟)。

2.地形・地質の概要

 この巨大転石は,手取層群赤岩層の砂岩で,オーソコーツァイトなどの礫を含んでいます。

 昭和9年の大水害以前はなかった巨岩が,大水害後に河原に現れたこと,上流側の支流である宮谷川に存在し川幅を狭めていた大きな岩がなくなっていることなどから,流れだした場所,流れた距離(約3km)などが推定されています。

奇岩近傍の三次元地形イメージ

 「百万貫の岩」の故郷とされる「宮谷川」の全容です。 約3km上流の河床に転がっていた大岩がルーツとされています。
  「カナキ谷」との合流点よりも,若干上流側あたりがその場所でしょうか?
周辺のジオサイトや観光地

白山手取川ジオパーク
 この奇岩は,白山手取川ジオパークの「山と雪のエリア,百万貫の岩」を構成するジオサイトです。

☆観光地
 白山登山,白峰集落(重要伝統的建造物群保存地区),白山スーパー,白山恐竜パーク白峰など。

交通概況

☆鉄道
 北陸新幹線金沢駅下車。 加賀白山バス「白峰線」に乗車して約2時間の終点「白峰体験村」で下車。
 徒歩約1時間30分(約6km)ほどです。
 なお,白峰線は運航本数が少ない場合があるので,事前に確認してください。
 北陸鉄道鶴来駅を経由するので,こちらから乗降車もできます。

☆自動車
北陸自動車道「小松IC」を経由し,国道360号,国道157号で「白峰」まで走行し,県道33号(白山公園線)を手取川沿いに遡行してください。

引用情報,お断り

【引用情報】
 国土地理院 >
   地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)
   国土地理院利用規約

【お断り】
 奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。
 地形図については,地図検索のページをご覧ください。