ここにもゾウがいる 類型:自然
  妙見浦(みょうけんうら) 熊本県天草市
奇岩の写真

妙見浦の全景
いわれ,特徴,エピソード等

 「妙見洞門]は高さ20m,幅8.5~20m,長さ50mであり小型船舶の通行が可能です。
 「妙見洞窟」は,3つの波食洞が内部で一つの大きな洞窟をつくっています。
 両者の天井には割れ目に沿って鍾乳石が形成されています。

 妙見洞門および妙見洞窟がある岩は,岩に穴が開いていることから「穴口(あなんくち)」とか,江戸期には行き合い洞(いがどう)と言われていました。
 少し海側にある岩は,昭和の初め頃,頂上に妙見様(北の神様)を祀った事から「妙見岩」と呼ばれるようになりました。
 地元の漁師は,ゾウの形をした岩を岡妙見(おかみょうけん),すこし沖にある妙見岩を沖妙見(おきみょうけん)と呼んでいます。

 ゾウ(象)が海の中を歩いている様に見えることからゾウ(象)岩という名称で呼ばれることもありました。

 妙見洞門および妙見洞窟のある通称「ゾウ(象)」岩は,雲仙天草国立公園の第二種特別地域です。
 国の名勝地に指定されている妙見浦でも特に景観の良い場所です。
 この岩は十三仏公園から見るとゾウが歩く姿に似ているため有名です。
 天草西海岸で人気のある観光スポットで,多くの人が立ち寄ります。

地形・地質の概要

 この岩のある天草西海岸にはこの地域で最も古い「長崎変成岩類」と「白亜系姫浦層群(約7000万年前)」が断層で接触している場所があります。
 妙見浦周辺の海食崖は高さが20~80mで,象の形をした岩がトンボロとよばれる幅の狭い浅瀬で繋がっているなど,天草西海岸を代表する見事な自然景観をつくりだしています。

 姫浦層群は「黒色頁岩」と「砂岩」の互層を主体とします。 中新世に「流紋岩(リソイダイト)」が貫入し,この一帯の海岸では白い岩脈が露出します。

 この流紋岩は,貫入後更に熱水活動を伴う火成活動の影響を受け,岩石を構成していた長石などの鉱物は,セリサイト(絹雲母),カオリンなどの粘土鉱物に変質しています。
 これが日本一良質とされる天草陶石です。
 用途は陶磁器,和洋食器,高圧碍子(がいし)などで,最高級品は高級白磁に使われます。

奇岩近傍の三次元地形イメージ

  「妙見浦」は,「リアス海岸」です。 山がそのまま沈水した結果,波の侵食力が山の斜面に直接作用した結果,「海食崖」や「海食洞」が生まれました。
 元々は斜面だったろうと思われるところが,波の力で平坦化して「波食棚」もできました。
 地形図に「穴の口岩」と記載されている「象岩」と天草下島との間には,「トンボロ(陸繋砂州)」ができています。
周辺のジオサイトや観光地

☆観光地
 天草市立天草キリシタン館,軍ヶ浦海岸や下田温泉など。

交通概況

☆バス
 天草市の「富岡港」から九州産交バスの「高浜上河内」行きに乗車し,「妙見ヶ浦バス停」で下車します。
 乗車時間は約40分ですが,運航本数は1日3本です。
 下車後,徒歩約6分で奇岩です。
 「富岡港」までは,長崎市の「茂木港」発の高速船を利用します。 1日4往復で,乗船時間は約45分です。

☆自動車
 九州自動車道「松橋IC」を経由し,国道218号や国道266号(天草パールライン)で上天草市まで走行します。 
 松島有明道路(国道324号)を「合津IC」から「有明」まで走行し,天草市の中心部で国道266号に入り,亀川ダムの先で県道288号に入り,後県道24号で下田温泉まで走行し,国道389号(サンセットライン)を天草市天草町方向に向かいます。

引用情報,お断り

【引用情報】
 国土地理院 >
   地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)
   国土地理院利用規約

【お断り】
 奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。
 地形図については,地図検索のページをご覧ください。