天に向かってひと声 類型:動物
  獅子吼岬(ししぼえみさき) 熊本県天草市
謂われ,特徴,エピソード等

 獅子吼岬のある法ヶ島は,雲仙天草国立公園の第二種特別地域でもあり,海は海域公園に指定されています。
 牛深港から出るグラスボートは,海中のサンゴ珊瑚や熱帯魚と,この奇岩付近を観光スポットとして運行しています。

 獅子吼岬の岩が割れて穴が開き,獅子の前足を形作っています。
 この穴について,江戸時代に発祥したと云われる牛深の民謡「牛深ハイヤ節」の4番に「ハイヤー 大島 片島 片潮かけてヨー なぜに 法ヶ島が サーマ ほげたやらエー…」(ほげた:九州地方の方言で穴が開いている様のこと)と唄われ,古くから景形勝の地として知られていたようです。

 この岩は,近くで見ると獅子に見えますが,遠方の鹿児島県長島からは,ネズミがうずくまっているように見えます。

地形・地質の概要

 法ヶ島の獅子吼岬は,約300万年前に東方の鹿児島県長島で火山活動が起き,その「火山砕屑岩(凝灰角礫岩など)」が到達しました。 後に,風化・侵食によってできた地形・景観です。

 法ヶ島の地層は,下部から「古第三紀層」,「牛深溶結凝灰岩」,最上部が「長島凝灰角礫岩」です。
 岬は凝灰角礫岩からなる部分で,風化浸侵食(タフォニ)によって,獅子が吼えているように見える奇岩となっています。


獅子吼岬近景

獅子吼岬遠景
奇岩近傍の三次元地形イメージ

産総研・地質調査総合センター発行の「1/20万地質図幅」によると,「長島凝灰角礫岩」は,「法ヶ島」の一部にのみ分布し,「下須島」や「築ノ島」には記載がありません。
天草諸島は「リアス(沈降)海岸」ですが,随所に「波食棚」が分布しています。 尾根が「沈水」した結果,波浪の当たるところが平坦化したものでしょう。
周辺のジオサイトや観光地

☆観光地
  天草市立天草キリシタン館,下須島東端の鶴葉山公園,砂月海水浴場,など。

☆観光コースの例
  牛深海域公園遊覧・グラスボートの「牛深海中公園遊覧コース」では,この海中の魚やサンゴと共に,船上より牛深下須島の牛深溶結凝灰岩の柱状節理,
 法ヶ島の獅子吼岬などを見ることができます。

交通概要(公開時の情報)
  • バス1:九州産交バス「本渡バスセンター」発「牛深市民病院」行きに乗車し,「牛深港バス停」で下車。 上記遊覧船に乗船してください。
       「本渡バスセンター」までは,「熊本バスセンター」から九州産交バスの「あまくさ号」が,乗車時間約2時間20分で連絡しています。
  • バス2:JR九州新幹線「出水駅」から,南国交通の九州新幹線連携シャトルバスで「藏之元港」まで乗車(約65分)し,同港から三和フェリーで牛深港に
       渡ります(約30分)。
  • 自動車: 九州自動車道「松橋IC」を経由し,国道218号や国道266号(天草パールライン)で上天草市まで走行します。
       松島有明道路(国道324号)を「合津IC」から「有明」まで走行し,天草市の中心部で国道266号に入り,牛深港まで走行します。
記事,引用情報,お断りなど
 

【記事】
 ☆タフォニ
  岩盤の表面に開口した円形~楕円形の穴のことです。 詳しい説明は,ここをクリックしてください
  日本の奇岩百景の中では,「般若のお船岩」,「鳴り岩」,「伊勢山上」と「高池の虫食い岩」も,タフォニです。

【引用情報】
 ・国土地理院 > 地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)  国土地理院利用規約

【お断り】
 ・奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。地形図については,地図検索のページをご覧ください。

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