九郎判官義経が隠れたという伝説 類型:人間
  宝満(ほうまん) 千葉県銚子市
謂われ,特徴,エピソード等

 宝満は,銚子半島の最南端の長崎海岸近くにある2つの島です。
 大宝満・小宝満と呼ばれていますが,九郎判官義経がこの辺りに隠れていたという伝説から「判官」(ほうがん)がなまって「ほうまん」になったといわれています。
 人間が仰向けになって天空をにらんでいるように見えます。

 宝満のある長崎海岸は磯遊びができる場所です。
 また大潮の干潮の時には,宝満に歩いて渡ることができる場合もあります。

地形・地質の概要

 約2000万年前(新第三紀中新世)に噴出した「安山岩」からなる岩体です。
 この安山岩は,Mg(マグネシウム)を多く含む「古銅輝石安山岩」です。

 凝灰岩の上に溶岩が観察でき,下部及び周辺部が著しく発泡したクリンカーからなり主部では流理構造の顕著な安山岩の溶岩がみられます。

 この時代の火山フロントはここより大陸側にありました。
 なぜ,ここで溶岩が噴出したのかは,日本海形成との関連が考えられています。


宝満の全景
奇岩近傍の三次元地形イメージ

「銚子半島」は,様々な年代の地層が入り混じった場所です。 「海成段丘面」である台地の大部分は第四紀完新世の「堆積岩」です。
これに対し,「犬岩」,「千騎ケ岩」や「愛宕山」は,中生代前期~中期ジュラ紀の「付加体」なので,その差は2億年近くもあります。
また,「長崎鼻」の周辺は中生代前期白亜紀の砂岩(非付加体)なので,それが堆積した年代は約1億年前となります。
周辺のジオサイトや観光地
銚子ジオパーク
 この奇岩は,銚子ジオパークの「黒生・夫婦ケ鼻・宝満ジオサイト」を構成するジオポイントです。
 銚子ジオパークでは,この他に「犬岩と千騎ケ岩」と「屏風ケ浦」が奇岩に登録されています。
 犬吠埼ジオサイトは, 関東・銚子半島の最東端の犬吠埼は,三方を海に囲まれた海食台地で,断崖の下に横たわる無数の岩礁で荒波が砕ける様は,見ごたえがあります。犬吠埼は白亜紀の地層で,「犬吠埼の白亜紀浅海堆積物」として国指定の天然記念物になっています。
☆観光地
  犬吠埼灯台: 犬吠埼に高くそそり立つ白亜の塔は,銚子観光のシンボル的存在で,2014年に建設後140周年を迎えました。
☆観光コースの例
  宝満 → 外川の町並み → 犬吠埼
交通概要(公開時の情報)
  • 鉄 道: 銚子電鉄「外川駅」下車。徒歩約10分です。
  • 自動車: 東関東自動車道の「大栄IC」を経由し,IC近くの「東総有料道路」で「大角IC」まで走行し,後は県道56号と国道126号などを利用してください。
記事,引用情報,お断りなど
 

【記事】
 ・産総研・地質調査総合センター発行の「1/20万シームレス地質図」には,「宝満」を構成する「安山岩」の記載はありません。
 ・極めて局所的な地層なのでしょう。

【引用情報】
 ・国土地理院 > 地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)  国土地理院利用規約

【お断り】
 ・奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。地形図については,地図検索のページをご覧ください。

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