百合若大臣が開けた穴 類型:歴史
  星穴(ほしあな) 群馬県下仁田町
奇岩の写真

星穴の近景

妙義荒船スーパー林道,旧料金所跡地からの星穴岳
いわれ,特徴,エピソード等

 山の中腹に空いた10m四方の大穴で,またそれにまつわる伝説が地域全体に根付いて,この伝説から地名がついているものものあります。

 大男の百合若大臣が昔,力比べをしようと,旧松井田町小山沢から碓井川をまたいで,妙義に向かって矢を放ったところ,星穴岳の山腹を貫きました。

 さらにその抜けた岩が下仁田町高立地区に突き刺さり,一本岩としてのこっており,そこを源流とした川は矢川と名付けられています。

 このときに百合若大臣が用いた弓と矢は妙義神社に奉納されています。

 また,百合若大臣に対抗し,周りの者が持っていたむすびを投げつけて空いた穴がむすび穴として星穴の東に空いています。

地形・地質の概要

 星穴のある星穴岳は,新第三紀鮮新世の妙義古火山による噴出物で構成されます。

 噴出物の大部分は火屑岩で,溶岩や湖沼成の堆積物も含まれます。

 星穴のすぐ下からは沢が始まり,この沢の浸食作用によりオーバーハングし,凝灰角礫岩と溶岩の地層境界部分が抜け落ちたと推定されます。

奇岩近傍の三次元地形イメージ

 「妙義古火山」の噴出物は,侵食されやすいという特徴があり,「星穴岳」や「金鶏山」を構成する山稜は,急傾斜(断崖絶壁)となっています。
 侵食によって,薄い壁のようになっていた山稜の一部が抜け落ちたのが「星穴」とされています。
 安山岩の「岩脈」は,極めて硬く侵食に耐えられるので,いわゆる「尖峰(」ニードル)」となったのが「筆頭岩」と考えられます。
周辺のジオサイトや観光地

下仁田ジオパーク
 この奇岩は,下仁田ジオパークを構成するジオサイトである「妙義山石門群」の近隣に存在します。
 下仁田ジオパークには,この他に 荒船山,富岡製糸場・荒船風穴(世界遺産),荒船の湯 などのジオサイトがあり,日本で最古の西洋式牧場 神津牧場 もジオサイトとして登録されています。

☆観光地
 世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」。

交通概況(公開時の情報)

☆鉄道
 上信電鉄「下仁田駅」下車。町営バス「中之嶽」線に乗車し,「中村バス停」で下車。バス停から中之嶽神社まで,徒歩で約1時間かかります。
 中之嶽神社からの登山道はありませんが,徒歩2時間程度で星穴岳直下までは到達できます。

☆自動車
 上信越自動車道「松井田・妙義IC」より,国道196号で中之嶽神社まで来られます。以後は上記に同じです。

記事,引用情報,お断り

【記事】
 「相馬岳」や「天狗岳」では,東側(図の右側)斜面が急傾斜で,西側は緩斜面という,「非対称山稜」となっています。
 山稜が,北東-南西方向なので,季節風などの影響を受けた可能性があります。

【引用情報】
 国土地理院 >
   地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)
   国土地理院利用規約

【お断り】
 奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。
 地形図については,地図検索のページをご覧ください。