お祈りする姿にそっくりな 類型:神仏
  大仏岩(だいぶついわ) 茨城県つくば市
奇岩の写真

大仏岩の近景
いわれ,特徴,エピソード等

 高さ15mもあり,大仏のように見える岩です。

 この写真のアングルからは,あたかも左斜め前の下方から見上げた時の大仏像あるいは,腰かけた巨大な人物像のようです。 

地形・地質の概要

 以前には筑波山から加波山につながる山地は筑波山脈と呼ばれていました。
 筑波山脈について小林房太郎は大正14(1925)年に教育圖書普及會より出版した『最新地文學精義』に以下のように書いています。

 「本山脈は他の褶曲山脈と異り,水成岩より成れる所殆どこれ無く,花崗岩・閃緑岩等を主とす。是等の岩石は,地球の内部より噴出せしものなるが,其の上部に位する地盤の風化・水蝕等の作用を被り,数多くの星霜を経て,次第に侵蝕せられ,遂に其の跡を留めずなり,其の下底の火成岩遂に地表に露出するに至りしものなり,筑波山(八七六米)及び加波山(七〇九米)等脈上に聳ゆ。 筑波山は斯くの如く高度小なるも,関東平野の一隅に屹立し,展望開闊秀麗なるより人の注目を惹くこと大なり。」。

 この大仏岩は筑波山の二つの峰の一つ,女体山頂近くの「斑れい岩」の岩塊です。
 この岩塊中の節理面が,大仏あるいは巨大な人物の“目”,“鼻”,“上唇”,“胴体”などを構成しているように見えます。 

奇岩近傍の三次元地形イメージ

 「筑波山」は,西側の「男体山」と東側の「女体山」から構成される「双耳峰」です。
 山頂部は,いずれも中生代後期白亜紀(約7.5千万年前頃)に,地中深くでマグマがゆっくりと冷えて固化した「斑れい岩」で構成されています。
 その後隆起して地上に顕れましたが,斑れい岩の上にあった大地の全ては,侵食により無くなってしまいました。
周辺のジオサイトや観光地

筑波山地域ジオパーク
 この奇岩は,2016年度に登録された筑波山地域ジオパークを構成するジオポイントの一つです。
 本ジオパーク内には,他に「屏風岩」,「北斗岩」,「裏面大黒」,「出船入船」,「高天原」,「弁慶七戻り」,「母の胎内くぐり」,「ガマ石」,「セキレイ石」,「立身石」,「御海」と「吾国愛宕奇岩」の奇岩があります。

☆筑波山
 筑波山は水郷筑波国定公園に指定され(1959年),その山頂部は男体山,女体山の二峰に分かれます。
 これらの山頂部からは,関東平野や霞ヶ浦などが広く眺望できます。
 また山麓の筑波山神社は,二峰から構成される筑波山の山体そのものを御神体とする,起源の古い神社です。
 山麓には梅林などが知られています。

☆観光コースの例
 (一社)筑波観光コンベンション協会の「白雲橋コース」に紹介されています。

交通概要

☆鉄道
 つくばエクスプレスの「つくば駅(つくばセンター)」下車。筑波山シャトルバスで「つつじヶ丘」行きに乗車。下車後,ロープウエイで「女体山頂」まで約6分。
 女体山頂から上記「白雲橋コース」を,おおよそ10分下山します。なお,つつじヶ丘からの登山の場合は,70分ほど掛かります。

☆バス
 「羽田空港」,「成田空港」や「東京駅」から高速バスを利用して「つくば駅」で下車,以後は鉄道に同じです。
 注 「つくば駅」からは,筑波山シャトルバスで「筑波山神社」を経由し,ケーブルカーで「筑波山頂駅」まで乗車するルートもあります。

☆自動車
 常磐自動車道「土浦北IC」より,つつじヶ丘駐車場まで約40分です。

引用情報,お断り

【引用情報】
 国土地理院 >
   地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)
   国土地理院利用規約

【お断り】
 奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。
 地形図については,地図検索のページをご覧ください。