先住民族アイヌの悲話 類型:人間
  親子岩(おやこいわ) 北海道様似町
1.謂われ,特徴,エピソード等

 この岩には,先住民族アイヌの悲話が残されています。その昔,戦いに敗れた集落の長がまず妻子を逃したが,様似まで来た妻は逃げ切れないと観念し,子どもを抱いて海に入り小岩(親子岩の東方にあるソビラ岩)になってしまいました。

 妻の後を追ってきた長はそれを見て自分も海に入りその西方で大岩になりました。追いつめたはずの敵の長はこれらを見てくやしがり,大岩の方めがけてヨモギの矢を放つと,大岩は3つに砕け今の親子岩の姿になりました。

 あたかも親子3人のようなたたずまいから,後世「親子岩」と名付けられましたが,その実はアイヌの長一人というのは,いささか脈絡がないともいえます。

 「夫婦岩」と呼ばれるものは全国各地に見られますが,子も含めた3つの岩が並ぶのは珍しいものです。

 様似町の景観の美しさは,日高山脈南端のアポイ岳と海岸に浮かぶ大小の岩山とのコントラストにありますが,親子岩はそのなかでもアポイ岳とともに様似町を象徴する名勝です。

 12月には,この背後に沈む夕日を求めて多くのカメラマンが訪れます。

2.地形・地質の概要

 火成岩の一種で半深成岩のひん岩。新第三紀(約1700万年前)に白亜系堆積岩中の割れ目に貫入し冷え固まったマグマが,浸食によって残されたもの。

 ハンマーで割って断面を観察すると,黒い長柱状の角閃石がみてとれます。親子岩とほぼ同一線上に並ぶ他の岩山も同じ成因でできていると考えられています。

 アポイ岳ジオパークの代表的なジオサイトの一つです。


様似町西町,親子岩ふれ愛ビーチから眺めた親子岩の夕日

様似町潮見台
観音山展望台から眺めた親子岩と塩釜ローソク岩
3.周辺のジオサイトや観光地
アポイ岳ユネスコ世界ジオパーク
 この奇岩は,アポイ岳ジオパークの「様似海岸エリア」を構成するジオサイトの一つです。 また,多くの登山者が訪れるアポイ岳登山口は,奇岩の東方約7kmにあります。
☆親子岩の前浜
 海浜公園としてキャンプ場と海水浴場が整備されており,特に夏場は観光客でにぎわいます。
☆観光地
 島倉千代子や森進一の歌で有名な「襟裳岬」は,さらにその約30km先にあります。
☆観光コースの例
 フットパス様似八景コース
4.奇岩近傍の三次元地形イメージ

「親子岩」や「塩釜ローソク岩」は,「ひん岩」というとても硬い岩石のため,波の侵食に耐えて海上に姿を留めているものです。
5.交通(公開時の情報)
  • 鉄 道:JR日高本線の「様似駅」下車。JRバス「向別」若しくは「上野深」行きに乗車し,「西町」で下車。乗車時間は約5分。バス停からは徒歩約3分。
  • 自動車:日高自動車道「日高門別IC」から国道235号,同236号と同336号を通って,約1時間50分です。
6.引用情報,お断りなど
 

【引用情報】
 ・国土地理院 > 地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)  国土地理院利用規約

【お断り】
 ・奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。地形図については,地図検索のページをご覧ください。

Powered by GeoInformation Potal Hub(GIPH),2020(2022/11 改訂)  Lightbox Plus