ニュージーランド:ミルフォードサウンド
地質などの特徴

氷河,フィヨルド,懸崖,海岸瀑,カスケード滝

投稿者による船上写真とその説明 : ミルフォードサウンド

【投稿者:府川 宗雄氏】     2006年

  • Milford Track 徒歩行程の終点は,アーサー川河口近くのアダ湖 (Lake Ada おそらく氷河後退期の 1front に当たる氷跡湖)岸の Sandfly Point(確かにこの地方特産?のスナブヨ Sandfly が多く,目鼻や口,汗にまみれた肌にまとわりつき,刺されると痛がゆい)で,ここからは Milford sound 湾奥にある最後の宿舎 Miter Peak Lodge まで(船室付きの)ボートで下る。
  • いうまでもなく,Milford Sound は,氷河時代以来,Fiordland 一帯を覆っていた氷床から,西のタスマン海 Tasman Sea に流れ下る氷河の下刻によって生じた氷食谷が沈水したもので,峡湾の両岸は,写真①に見られるように,氷食の跡を示すほとんど垂直に切り立った谷壁からなる,この地域の沿岸に数多く並ぶフィヨルドの1つである。
  • 先住民マオリの時代から,当地方産ヒスイの採掘・交易・漁労・等の拠点として利用されていたといわれ,大英帝国の植民地時代にも,オーストラリア側から上陸し,Southern Alps を越えて南島の内陸に至る最有力拠点として利用され,開発もされてきた場所であり,現在でも,南太平洋海域における重要な避難地として機能している。
  • 切り立った両岸の谷壁には,この地域に分布する変成岩・火成岩類が観られる。 また,湾口付近には,それらの原岩といわれるカンブリア~オルドビス系の地層なども観察できるといわれる。
  • 写真②の氷河擦痕は,湾内観光船の発着する湾奥の桟橋からほど遠からぬ右岸で観察されるもので,湾口近くからUターンし,桟橋に戻る観光船が,必ず一時停止し,船内放送による解説も行われる。
    いうまでもなく氷河の側方浸食の産物で,フィヨルド右岸にそびえるライオン山(The Lion 1302m)を構成する花崗岩質岩の岩肌に,このような無数の平行な浅溝の形で保存されている。
    もちろん,このような擦痕は湾内の谷壁の至るところで観察できる。
【事務局による追加写真や参考情報など】

湾口近くから,湾の奥を撮影しました。 注 レンズに水しぶきがついています。 ご容赦の程を。

ハリソン湾。 幾条もの滝が懸かっています。 典型的な「U字谷」です。

氷河が融けた水が滝となっているので,乾期でも涸れないというスターリング滝(155m)。 見事な「U字谷」です。

カスケードと呼ばれている多段の滝。 氷河が浸食する力と岩盤強度性質の関係でしょうか?,傾斜の緩いところがあるようです。

上の写真に写っている滝を,フィヨルドの反対側から撮影しました。 傾斜の緩い部分は,一時期U字谷の谷底だったようにも見えます。

現地での説明では,風速10mを越えると,水は全てしぶきとなって滝にはならないとのことでした。 風速の値はともかく,実に納得しました。

【追加情報(事務局:中田 文雄)】

  • ミルフォード・サウンドは,ニュージーランドの南島に設定されている「フィヨルドランド国立公園」の中にあるフィヨルドです。
  • 氷河によって削られたU字地形谷が沈降により生まれた地形であって,北欧などに多く見られるのが特長です。
  • U字谷は,細長い形をしているにも係わらず,谷幅の変化が少ないという特徴があります。
    このミルフォード・サウンドの場合,長さは約15km,谷幅は1km~2kmとなっています。
  • この地は,年間降水量が7000mmを越えることもあるという多雨地帯のため,降雨時には無数の滝が発生し,中にはカスケードと呼ばれる多段の滝も発生します。
  • なお,サウンドとは,川の水の氾濫によってできた入り江地形のことですが,始めてこの地を訪れた英国人が自国の類似地形の名前を当てはめた,と言われています。

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