スリランカ:シーギリヤロック
地質などの特徴

・先カンブリア時代,Highland Complex ,変成岩,片麻岩,ペグマタイト,ビュート

地上写真:シーギリヤロック

西側からの「シーギリヤロック」。 左側の中腹は「ライオンテラス」で,メンテナンスのための足場が作られています。
投稿者による写真の説明や記事など

【投稿者:中田 文雄(事務局)】     2018年

 スリランカの大部分は,先カンブリア時代の基盤岩類から構成されており,西から大きく「Wanni Complex(集合体)」,「Highland Complex」と 「Vijayan Complex」という3つに区分されています。

 これらのうち,シーギリヤロックは, Highland Complex に区分されています。
 Highland Complex を構成する主な岩石は,堆積岩起源の変成岩であって,片麻岩やチャーノカイトと呼ばれる花崗岩に良く似た岩石です。
 ただし,具体的には片麻岩系の岩だという説と,花崗岩の岩頸(岩栓)であると言う説があるようです。

 シーギリヤロックは,頂上部の直径が約200m×約80m(単純平均約140m)の「柿の種」状で,比高が約200mという大きな岩です。
 地形用語では「ビュート」と呼ばれるもので,アメリカのアリゾナ州に多く存在する地形です。

 大岩の上にお城を築いた王様がいましたが,本気で籠城するつもりだったのでしょうか?

地上写真:シーギリヤロック

登り口には巨岩が折り重なっています。 シーギリヤロックの岩壁から落ちてきたものだと思われます。
表皮?が直線的に剥がれているのは,剥離防止のためにあらかじめ人工的に処置した結果では無いか,と思いました。

岩の窪みに覆いが取り付けられています。 壁画「シーギリヤ・レディ」が描かれている所なのですが,
そこに行くためには螺旋階段を登る必要がありました。 壁画は撮影禁止のため,本ページにはありません。
壁画の上の地層が大きく乱れています。 斜めの亀裂も入っています。 大丈夫なのでしょうか?
露頭写真:岩の剥離と補修状況

シーギリヤロックを形成する「Hiland Complex」には,無数の亀裂がありますが,中には最も危険な「剥離亀裂」も存在します。
観光地のため落下防止用の処理が施されていますが,その方法は中々にユニークですね。
右下の壁は,遠くから見て壁面が白く光っているようにするためのもの,という説明がありました。 注目は壁の外の足場です。
露頭写真:ペグマタイト岩脈

シーギリヤロックを形成する「Hiland Complex」の主な岩石である「ミグマタイト質片麻岩」です。
白い部分は,それに貫入した「ペグマタイト(巨晶花崗岩)」という火成岩の一種です。 白く見えるのは「石英」か「長石」が多いためかもしれません。
地上写真:頂上へ上るための努力

(左)ライオンテラスから頂上へは,鉄階段を登ることになります。 石段では摩耗するし,雨の時は滑るからでしょう。
(右)光る壁をメンテナンスするための足場。 何とも弱々しいものですが,スリランカの基準では「これでよし」なのでしようね。
地上写真:頂上から見た周辺の山々

(上)赤土に覆われた頂上からは,南西方の町「ダンブッラ」の西にそびえる「Hiland Complex」 の山々を望むことができます。
(下)シーギリアロックのすぐ北には,同時代の残丘がありますが,こちらは丸い丘になっています。 地質が微妙に違うようです。
事務局による参考情報など

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