沖縄県:荒崎~喜屋武岬の琉球石灰岩
地形・地質の特徴

・琉球石灰岩,断崖,海食崖,断層,波食棚,サーフベンチ

地形と地質の三次元イメージ(産総研・1/20万 シームレス地質図)
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

沖縄本島の南部の殆どが「琉球石灰岩」で覆われています。 特徴は,無数の「断層(石灰岩堤)」と,断層を境とした地表面の傾斜です。
図に示した範囲に限ると,断層を境として南側が隆起していますが,隆起側の地表面は水平ではなく,南側に傾斜している傾向があります。
琉球石灰岩の断崖絶壁は「具志川城址」~「荒崎」間と,「平和祈念公園」が建設された「摩文仁」に存在します。
地上写真 : 沖縄本島南部

喜屋武岬(きゃんみさき)平和之塔からの荒崎です。 荒崎に向かって,海食崖の高さが,中位段丘面から低位段丘面へと変化しています。
中位段丘面の最も海寄りに,大きな海食洞が開いています。 また,低位段丘面上に「津波石」のような大岩が乗っています。

(左)段丘面の標高は約21m。 海食洞の高さは実に10mは越えていそうです。
(右)「カサカンジャー」と言う,低位段丘面の上に乗っかっているだけの大岩です。 「津波石」かと思いましたが,下記資料によると「高波石」とのことです。

「具志川城址」からの「喜屋武岬」です。 海食棚が今ほど成長していなかったころに,波に削られて崖から落ちた岩がゴロゴロと転がっています。

(上・左右)平和之塔直下の琉球石灰岩の岩塊群。 水平に削られた「サーフベンチ(隆起波食棚)」の手前は,「潮溜まり」ができています。
【記事,引用情報と参考情報】

【記事】

  • 琉球石灰岩は,沖縄県を中心とする南西諸島に分布する石灰岩であって,第四期更新世(ジエラシアン期~チバニアン期)の珊瑚礁が起源です。
    珊瑚は浅い海でしか生育できないことから,琉球石灰岩が存在する場所の当時が浅い海であつたことが,容易に推測することができます。
    琉球石灰岩は,南西諸島の基盤層である島尻層(泥岩・砂岩)の上位に存在し,多くは急崖を伴う台地を形成しています。
  • 沖縄では,土木建築の資材として古くから使用されてきました。
    首里城に代表される石垣や,金城町などの石畳,お墓,グスク(城)や御嶽(うたき)などがその代表的な例でしょう。
  • 琉球石灰岩には「ガマ」と呼ばれる自然洞窟(鍾乳洞)が随所に存在し,沖縄戦の際には県民や将兵が避難壕として利用していましたが,その多くの人々は戦死されました。 「ひめゆり壕」,「糸数アブチラガマ」や「轟の壕」などはその代表です。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

  • 本ページは,「地質情報ポータルサイト」で公開されていた「日本の地質案内」の当該ページを,最新の知見に基づきバージョンアップしました。