長野県:ウェストン碑と滝谷花崗岩(世界一若い花崗岩)
  (日本の地質百選:上高地と滝谷花崗岩)
地質の特徴

滝谷花崗岩,火山地形

投稿者による写真とその説明 : ウェストン碑と滝谷花崗岩

【投稿者:岩松 暉氏】

  • イギリス人宣教師Walter Weston(1861-1940)は「日本アルプス」という言葉で日本の山々を欧米に紹介したとして有名です。
    「日本近代登山の父」と称されます。
  • 1940年日本山岳会は,その喜寿を記念して上高地の花崗岩にウエストンのレリーフを埋め込み,ウエストン碑としました。
    ところが,この石こそ世界で一番若い花崗岩,第四紀の滝谷花崗岩(140万年~100万年前)だったのです(Harayama,1992)。
  • 花崗岩はいわゆる深成岩で,地下の深いところでできます。
    それがわずか100万年程度の短時間で1,500mもの高い標高にまで露出したということは,日本アルプスがいかに急速な隆起をしたかを示しています。
    なお,花崗岩は石英・長石・雲母などからなりますが,とくに雲母が風化に弱いので深層まで風化してマサ(粗粒の石英や長石の砂)になりやすいのです。
    梓川の砂が白くて粗いのはそのためですし,そうしたマサのところは水草も育たず澄んでいます。
    このように花崗岩は大変風化しやすい岩石ですから,花崗岩の山はすぐ削られて低くなります。
  • 白亜紀の広島型花崗岩からなる瀬戸内海では,ご存知のように女性的な,なだらかな風景をつくっています。
    花崗岩で高い山になっているのは,ここ以外では屋久島(1500万年前の屋久島花崗岩)くらいなものです。
    屋久島も隆起速度が大きいところです。
地形と地質の三次元イメージ : 北アルプス・南部[事務局作成]
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

上高地の基盤は,日本最古の変成岩です。 その上には中期~後期のジュラ紀付加体が乗っています。
地表面には,新生代第四紀更新世ジェラシアン期~カラブリアン期という,世界一若い「滝谷花崗岩(花崗閃緑岩)」が分布しています。
  (但し,全域ではありません)
【現場写真】 大正池からの滝谷花崗岩の山

大正池からの西穂山荘以南の山々です。 このあたりの山は,深い緑に覆われています。
2250mピークから,西穂山荘付近までが,おおむね「滝谷花崗岩(花崗閃緑岩)」の範囲です(一部を除く)。
 また,写真右側の崩壊地ならびにその付近の地質も,同様に滝谷花崗岩です。
【現場写真】 新穂高ロープウェイ西穂高口駅からの西穂高岳

写真に記載した地層境界は1/20万シームレス地質図を参考にしたので,目安程度とお考え下さい。
「西穂高岳」や「西穂独標」の各尾根部分は,世界で最も若いとされる「滝谷花崗岩(花崗閃緑岩)」では無いことから,
滝谷花崗岩は,概ね境界線の下にほぼ水平状態で存在するものと思われます。
【引用情報と参考情報】

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

  • 本ページは,旧GUPIのウェブサイト「地質情報ポータルサイト」で公開されていた「日本の地質百選:上高地と滝谷花崗岩」と「日本の地質案内:ウェストン碑と滝谷花崗岩(世界一若い花崗岩)」を統合し,更に事務局が「三次元地形図」,「三次元地質図」や若干の記事などを追加したものです。