福島県:塔のへつり
地質の特徴

蛇行,差別侵食,側方侵食,凝灰岩,軟岩

投稿者による露頭写真とその説明:塔のへつり

【投稿者:大島 洋志氏】(2006.9.12)

  • この変わった名の名勝は,福島県南会津郡下郷町白岩字小牧の阿賀野川上流の大川(阿賀川)の東岸にあり,大川羽鳥県立公園,大川ラインの一番の景勝地とされている。
  • 東武鉄道鬼怒川線鬼怒川温泉駅で野岩鉄道に乗り換え,さらに田島で会津鉄道に乗り換え,「塔のへつり」駅で下車すると徒歩約10分の地にあるが,鉄道でこの地に行く人はまずいないだろう。
    私達は湯野上温泉に行った際に,国道121号線沿いにあった観光案内でこの名勝を知り,好奇心で訪れた次第である。
    そのうち工事中の甲子トンネルが使えるようになると,この地を訪れる人増えるのではなかろうか。
  • 吊り橋の対岸,新第三紀の凝灰岩層からなる岸壁は塔が横並びにして立っているよ うな景色をなしている。
    これが昭和18年3月に国の天然記念物に指定を受けた「塔のへつり」とのこと。
  • 広辞苑によれば「へつり」とは「東日本で,山中の岨道(ソバミチ),絶壁や川岸などの嶮岨な路などをいう。福島県会津に塔のへつりという名勝がある」とある。
    インターネットでは,「川岸が切り立った崖となっている所/川に沿った断崖や急斜面」,「このような場所の少ない足場を頼りに水ぎわの岩場を水平方向に移動すること」といった説明もある。
  • 確かに岸壁の下,水面から数メートル上部に人が立って歩けるような窪みがある。
    この窪み,人工的に刻まれたもののようにも思えるが,現地の説明板には, 「百万年の歳月をかけて,浸食と風化を繰り返し見事な景観を創りだした」と,全体の奇岩・怪石形成に関する説明があるだけである。
                                     
地形(標高段彩図)と地質の三次元イメージ:塔のへつり[事務局作成]
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/5万地質図幅『田島』(出典,下記)」を表示します。

【記事】

  • 「塔のへつり」のある場所の地質は,「塔のへつり層」の亜層である,火山由来で「湖成層」の「凝灰岩」や「凝灰角礫岩」で構成されています。
    かつて,この付近には湖があったのですね。
  • 「阿賀川」は,数段の河成段丘を作りつつ「蛇行」を繰り返しながら流下しています。
    塔のへつりの場所は,蛇行における「攻撃斜面」側となったため,水流が直接川岸(塔のへつり)に衝突(侵食)するようになりました。
  • 凝灰岩は軟らかく凝灰角礫岩は硬いという性質がありますが,それは河川水の侵食に対する抵抗力の差となって顕れます。
    白っぽい凝塊岩だけが侵食が進むために,窪みがほぼ水平に続くことになったのです。
  • 数段の河成段丘が存在することから,過去において水面の高さが大きく変化したことがわかります。
    このため,塔のへつりにある数段の窪みは,かつて流れていた水面の高さを表していると考えても良いでしょう。
【引用情報と参考情報】

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

  • 本ページは,旧GUPIのウェブサイト「地質情報ポータルサイト」で公開されていた「日本の地質案内」を基にして,事務局が「三次元地形図」,「三次元地質図」や若干の記事などを追加したものです。