北海道:稚内半島の斜面崩壊地形
地形・地質の特徴

表層崩壊,土石流,沖積錐,V字谷,峡谷

地形と地質の三次元イメージ : 稚内半島及び海成段丘面
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/5万 地質図幅『稚内』(出典,下記)」を表示します。
  • 崩壊した斜面の地質は,新第三紀中新世(約400万年前頃)の「稚内層(泥岩,砂質頁岩)」です。
  • 硬質な岩石にまで固化していないと思われるので,工学的には「軟岩」に分類されるでしょう。
  • 地質図では,各「V字谷」の出口に「崖錐・扇状堆積物」の表記があります。
    従って,地質図が作成された1954年には,すでに「扇状堆積物(沖積錐)」が存在していたことになります。
  • この沖積錐は,「浅層崩壊」と「土石流」によって斜面から削られた土砂が運ばれてできたものです。
  • 恐らく,「ガリー侵食」の頃から,繰り返し発生したのではないでしょうか。
  • 表層崩壊の原因としては,表土地盤の「凍結融解」や「膨潤性粘土の混入」などが考えられますが,詳しいことはわかりません。
地形の三次元イメージ : 表層崩壊が発生しているV字谷

本図に存在する「V字谷」のうち,「A」~「D」についてのみ写真撮影が可能でしたので,順次以下に示します。
各V字谷に共通する特徴が,谷の出口に形成されている「沖積錐」,すなわち「土石流」による「扇状地」です。
対策工事が行われているV字谷もあるので,完全な扇型を呈している沖積錐は,ごく少数のようです。
【現場写真】 Point-A

最も北に位置する「V字谷」です。 左岸側の斜面は,ほぼ全て崩壊しています。
谷の出口には,「表層崩壊」に伴う「土石流」で押し出されたと思われる土砂が,集められています(人工的に)。
また,写真の右下には観測機器らしきものが設置されているようです。 本格的な対策工事はこれからなので,それまでの監視でしょう。
【現場写真】 Point-B

この「V字谷」は,対策工事の見本として掲載しました。
【現場写真】 Point-C

この「V字谷」の斜面(左岸側)には,落石や土砂崩壊から防護するための「ネット」が取り付けられています。
また,右岸側にもネットを固定するためのワイヤらしきものが写っていますが,植生の下に隠れているのでよくわかりません。
もしそうならば,防護ネットの工事は,相当以前に施工されたものかもしれません。
【現場写真】 Point-D

対策工事の跡と,比較的新しい崩壊の跡が交錯していて,大雨の度に崩壊を繰り返している「V字谷」のように思われます。
なお,尾根の向こうにあるのは自衛隊のレーダードームです。
谷のすぐ上に立っているように見えますが,実際は相当離れているので,斜面崩壊の影響はまずありません。
記事・引用情報・参考情報など

【記事】

  • 「5万分の1地質図幅」の表記から,これら各「V字谷」の「表層崩壊」と「土石流」は,相当古くから繰り返し発生していた,と想像できます。
  • 2014年8月23日と24日,宗谷地方では記録的な豪雨に見舞われ,「礼文島」と「稚内市」では,土砂災害が発生しました。
  • 伊東(2014)によると,これら各V字谷においても,この豪雨時に土砂災害が発生しました

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

  • この「日本の地質案内ページ」は,新たな取材に基づいて制作しています。