北海道:阿寒湖畔の「ボッケ(泥火山)」
地形・地質の特徴

火山活動,泥火山,火山地形

地形と地質の三次元イメージ(産総研・1/20万 シームレス地質図)
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

「阿寒湖」は,「阿寒カルデラ」の中にできた「火口原湖(カルデラ湖に含まれます)」です。
阿寒温泉の他に「ボッケ(泥火山)」が存在するなど,阿寒湖の南岸は比較的「地熱活動」が顕著です。
地形の三次元イメージ : 阿寒湖とボッケ

「ボッケ(泥火山)」は,「阿寒湖温泉(地名)」から北東に約0.5km離れた湖岸に存在します。
【現場写真】 ボッケの全景

阿寒湖を周遊する観光船から撮影した「ボッケ」の写真です。
火山由来の「泥火山」は,大きく2箇所に分かれて分布しており,湖畔から離れている方を「泥火山①」,近い方を「泥火山②」とします。
「熱水湧出跡」は,かつて,湖底から熱水が湧き出していて,露天風呂として利用されていたらしい,という場所です。
【現場写真】 ボッケの泥火山①

「泥火山①」は窪地(凹地)となっており,底には恐らくお湯による池ができています。 温度が高ければ「湯沼」と呼ばれるものです。
窪地の中には数箇所のボッケ(泥火山)が分布しており,「A」と「B」を例示しました。
「A」は,泥火山そのもので,泥まみれの泡による「間欠泉?」です。
「B」は,池(沼)の底から湧き出しているもので,間歇的に泥水が噴出しています。
「C」は,大量の泥を噴き出している「泥火山」のようで,成層火山のような形を呈しています。
【現場写真】 ボッケの泥火山②

阿寒湖に近い方の窪地(凹地)です。 やはり,窪地の中心には池(沼?)があって,その中にはたくさんの泥まみれの泡が湧き出しています。
【現場写真】 ボッケ近くの熱水湧水地点の変遷

かつて,「ボッケ」近くの湖畔には,比較的優勢な「熱水湧出(温泉水)地点」が存在しました。
上の写真を撮影した1988年4月時点では確実に存在しましたが,現在(2022年2月)では,僅かな湯気が立ち上っているだけでした。

「ボッケ」近くの熱水湧出は,21世紀に入る頃から勢力を弱め,2022年現在ではほぼ枯れてしまったようです。
1988年4月に撮影した上の写真では,「露天風呂」として利用されていた,と思わせる雰囲気があります。
しかし,2022年2月に撮影した下の写真では,僅から湯気と露天風呂の痕跡だけが残っています。
【現場写真】 阿寒湖畔の地熱活動

「ボッケ」から少し南側の場所です。
目だった噴気はありませんが,雪が積もっていないことと氷が張っていないことで,地温が高いことがわかります。
岩石が白っぽくなっているのは,地中からの熱水による作用(熱水変質作用)によって,元々の鉱物が変質させられたためです。
【記事,引用情報と参考情報】

【記事】

  • 「ボッケ」とは,アイヌ語で『煮え立つ場所』という意味です。
    その名の通り,湖畔には火山由来の「泥火山」が数多く存在し,岸近くの湖底からは高温の熱水が湧き出していました(過去形です)。
  • 「ボッケ」は,「阿寒カルデラ」のほぼ中央に位置しています。 大陥没の後に残った火道などを伝って登ってきた熱と,阿寒湖からの地下水が接触してできた「熱水」が湧き出すことによってできたものかもしれません。
  • 残念ながら,「ボッケ」を地質学的に解説する資料が見つかりません。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

  • 本ページは,「地質情報ポータルサイト」で公開されていた「日本の地質案内」の当該ページを,最新の知見に基づきバージョンアップしました。