兵庫県:伊丹市を流れる天神川と天王寺川は天井川
地形の特徴

天井川,離水扇状地,トンネル工事,破堤,洪水

地形と標高段彩図の三次元イメージ:天神川及び周辺部
三次元地形図上で1回クリック,国土地理院の「治水地形分類図・更新版(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。
  • 伊丹市内を流れる「天神川」と「天王寺川」は,何れも宝塚市に拡がる「長尾連山」の南斜面を源流域とする小河川です。
  • 源流域の地質は,中生代後期白亜紀の「火山岩」,「火砕流」や「砂岩」で構成されており,比較的侵食されやすい性質があります。
  • 治水地形分類図に記載されているやや茶色の地形は,「伊丹段丘」と呼ばれる「低位~中位の段丘面」です。
    この付近が浅い海だったころ,「猪名川」や「武庫川」,更に長尾連山から流下する天神川や天王寺川などから押し出してきた土砂が海底に堆積し,その後の隆起によって段丘面ができたと考えられています。
  • その段丘面の上には,長尾連山から押し出されてきた土砂による「扇状地」が形成されています。
    天神川沿いの扇状地が最も広く,先端部はJR福知山線と中国自動車道のほぼ中間付近に達しています。
  • 治水地形分類図によると,天神川と天王寺川には「天井川(青の破線)」が存在します。 豊富な土砂が供給されていることを物語っています。
古地形図 : 天神川と天王寺川の歴史
  • 1900年頃の古地形図では,右側の「天神川」と左側の「天王寺川」は,共に土を盛り上げただけの堤防の中を川が流れているように見えますが,「天井川」であるかどうかまではわかりません。
  • 1985年頃の古地形図では,天神川と天王寺川は共に堤防が整備されていることがわかります。
    天神川の場合,「赤マーク」の場所に川の下を通るトンネル(荒牧トンネル)が記載されているので,この付近は天井川になっていることがわかります。
標高段彩図の三次元イメージ : 天神川と天王寺川の天井川区間
  • 最新の地形図では,天神川と天王寺川には共に河川記号が記載されているので,水が流れている川であることがわかります。
  • 天神川の「赤矢印」は,2023年5月の大雨で破堤した場所を示しています(詳細は以下参照)。
  • 国土地理院の5mDEMから天神川の標高値を推測してみました。 堤防天端の標高が約44mに対し河床の標高は約42mと,その差はわずか2m程です。
    地盤の標高が37m~38m程度なので,河床~地盤の差は4m程度になるようです。
  • 一方,天王寺川の場合,図示した地点では天端標高が約38m,河床の標高が約37mで,地盤の標高が約36mとなりました。
  • ご注意 : これらの標高はすべて国土地理院の5mDEM(メッシュ)からの推定値です。
         測量によって矢印地点の標高を求めていないので,これらの各値は目安程度であるとお考え下さい。
2023年5月に発生した堤防の決壊について
  • 2023年5月上旬,折からの豪雨のために「天神川」の水位が上昇しました。
  • この時,河床下に存在する「荒牧トンネル」の改築に先行する,河川の補強工事が行われていて,上図(左)のように川幅がかなり狭くなっていました。
  • 結果的に,流下してきた全ての水量を流すことはできず,左岸側の堤防が決壊して浸水被害が発生しました。
  • 理由は,① 流水を制限していた大型土嚢の積み方(1列2段積み)が悪く2箇所で破壊されて工事区間に川水が入り込んだ,② 左岸側の堤防を半分ほど除去していたため,入り込んだ川水の圧力で堤防にパイピングが生じて決壊した,と言うものです(誤解の可能性があるので,原典をお読みください)。
  • いずれにしても,豪雨時にどれほどの水嵩になるのかを見積もる際に,何らかの間違いが生じたのでは,と考えられます。
【記事・引用情報・参考情報】

【記事】

  • 川底が,周辺の土地の高さよりも高い河川のことを「天井川」と呼び,洪水時に上流から流されてくる土砂の量が多い河川にしばしば見られます。
  • 河川の両岸に形成された「自然堤防」を人工的に補強するなどして流路を固定化すると,流されてきた土砂は堤防の間だけに堆積するため,河床はますます上昇します。
  • その洪水防止のために堤防のかさ上げを行うと,河床の高さは更に高くなり,やがて天井川へと変貌してしまうことがあります。

【引用情報】

【参考情報】

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