新潟県:越後駒ヶ岳と特徴ある微地形(河川争奪と土石流堆)
地形の特徴

広域変成岩,河川争奪,斜面崩壊,土石流堆,日本百名山

地形と地質の三次元イメージ :
三次元地形図上でマウスクリックすると「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。

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  • 越後駒ヶ岳(2003m)とその周辺の山々は,中生代の広域変成岩である「泥質片岩」で構成されています。
  • 泥質片岩は,泥岩やそれに近い性質を持つ堆積岩が変成を受けてできた変成岩の一種で,「片理」や「小褶曲」が発達し,風化されやすい特徴があります。
  • 駒ヶ岳から北に延びる主尾根に,独立峰である「フキギ(1689m)」があり,駒ヶ岳との間に「オツルミズ沢」が流れています。
    この沢は,標高が高い場所では河床勾配が緩いのが特徴でが,右岸の尾根の向こう側には「佐梨川」支流の「桑ノ木沢」が急勾配で迫ってきています。
  • 一方,駒ヶ岳から南側の尾根伝いにある「グシガハナ(1811m)」の西側斜面には,岩盤が剥き出しになっている沢が多く存在しています。
    この斜面には,「水無川」の支流である「ブナツルネ沢」などが流れていますが,本流に合流する手前に「土石流堆」の特徴を持つ地形が存在しています。
地形の三次元イメージ : オツルミズ沢と桑ノ木沢の河川争奪(推定:進行中)
  • 「フキギ」から「池ノ塔」に延びる尾根と「オツルミズ沢」との標高を比較すると,最も低いところではわずか15m程度しかありません。
  • すなわち,この15mの壁が消滅してしまうと,オツルミズ沢の上流からの沢水は全て桑ノ木沢に流れ込んでしまう,ことになります(河川争奪)。
  • 桑ノ木沢の侵食力は強大であることから,河川争奪の完了は間違いないと思われます(時期は不明ですが)。

「桑ノ木沢(A)」~尾根(B)~「オツルミズ沢源流部(C)」の地形断面図です。
地形の三次元イメージ : 水無川支流の土石流堆
  • 「土石流堆」は,文字通り土石流で流れて来た土砂などが堆積した地形で,谷間においては,等高線が下流に向かって凸型になる,という性質があります。
  • 豪雨時に,駒ヶ岳などの西側斜面で斜面崩壊や地すべりが発生し,崩壊した土砂と水が土石流となって下流に押し寄せ,この場所に堆積したのでしょう。
  • 下図のように,土石流堆の平均傾斜は9.6゜前後となっていて,土石流が堆積する傾斜とされる10゜以下に合致しています。

「水無川・魚止ノ滝・下A()」~「土石流堆・下部(B)」~「同・上部(C)」~「駒ヶ岳西斜面のガレ沢(D)」~「頂上(E)」の地形断面図です。
  • 頂上直下の傾斜は40゜を超えていますが,沢に入ると徐々に緩くなりますが,それでも30゜近くあります。
  • 豪雨時あるいはその直後に「E~D」間の斜面で崩壊が起こった場合,崩壊した土砂は降雨による大量の水と混じり合い,土石流となって流れ下ります。
  • 「D~C」間では,河床に堆積していた土砂を巻き込んで更に流れ下りますが,「C~B」間のように河床の勾配が概ね10゜以下になると,移動する力が弱まって堆積が始まるとされています()。
越後駒ヶ岳

この登山ルートは,深田久弥の登山ルートを再現しました。
  • 深田久弥が採用した登山口は「枝折峠(しおり)」です。 登頂までかなりの道のりがありますが,登山道に沿ってトレースしてみました。
  • 標高差は940mですが,尾根を縦走する際にかなりのアップダウンがあるので,約1250m登る必要があります。
  • 歩行距離は約7.5kmと計算されたので,健脚者ならば最大6時間ほどで登頂できるでしょう。
【記事・引用情報と参考情報】

【記事】

  • 本ページでは,「久保田(2021)」に記載されている地域の一部を対象としていますが,あくまで「河川争奪」と「土石流堆」という微地形に関する内容を紹介するもので,越後駒ヶ岳山系と八海山山系の関係にまで言及するものではありません。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】