長野県・富山県:鹿島槍ヶ岳の氷河地形(カクネ里氷河)
地形の特徴

周氷河地形,氷河地形,氷河,圏谷,カール,非対称山稜,周氷河性平滑斜面,日本百名山

地形と地質の三次元イメージ : 鹿島槍ヶ岳及び周辺部
三次元地形図上でマウスクリックすると「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。

1/20万 シームレス地質図 の主な凡例は,ここをクリックしてください。 別ウィンドウで表示します。
  • 「鹿島槍ヶ岳」の地質は, 第四紀・更新世前期の「花崗閃緑岩類」です。 南北に長い楕円形状に分布しており,北端は祖父谷付近,南端は赤沢岳付近です。
  • 八峰キレット付近の東側には,中期更新世のデイサイト・流紋岩からなる「大規模火砕流(溶結凝灰岩)」が,南北に細長く分布しています。
  • その東側には,古第三紀暁新世~始新世の「花崗岩」と更新世前期の花崗閃緑岩類が分布しています。
  • 山頂東側直下には,地形図に「雪渓」マークのある幅広の谷が広がっており,ここに日本で7箇所しか現存していないという「カクネ里氷河」があります。
    氷河の分布する場所には,溶結凝灰岩と花崗岩が露出しているハズです(現地未確認)が,氷河の形成とはあまり関係が無いかもしれません。
  • 季節風が強く吹いて積雪の多い山岳では,風上側の山頂直下の斜面は谷が少なく比較的平滑であるのに対し,風下側は大小の谷が発達して開析が進んでいるという,「非対称山稜」を形成しているケースが多くなりますが,鹿島槍ヶ岳とその付近の山稜もその特徴を持っています。
地形と地質の三次元イメージ : 鹿島槍ヶ岳とカクネ里圏谷(カール)
  • 「鹿島槍ヶ岳」の北東斜面,「大川沢」の源流部には「カクネ里雪渓」が現存します。
  • 2018年,カクネ里雪渓の流動が確認されたことにより,現在では「カクネ里氷河」として関係学会から認定されています。
  • 地形図中の「※」は,恐らく「アバランチ・シュート(雪崩路)」ではないか,と考えた連続凹地です。
    ただし,地形図上の特徴なので,確定には現場踏査が必要です。
地形の三次元イメージ : カクネ里とカクネ里氷河
  • 以下の地形断面図から,「カクネ里氷河」が現存する谷は,確実に「U字谷:圏谷=カール」の特徴を持っていることがわかります。
  • 「飯田,2020」によると,カクネ里氷河は標高1795mから同2160mの間に広がっています(三次元地形図の矢印の間)。
【参考】カクネ里圏谷の地形断面図

資料を基にして,「氷河」と想定される場所の「地形断面図」を作成しました。
両岸とも,典型的な「U字谷(カール=圏谷)」の特徴を顕しています。
地形と地質の三次元イメージ : 鹿島槍ヶ岳の西側斜面(季節風の風上側)
  • 「鹿島槍ヶ岳」の南西斜面は,「季節風の風上側」です。 山稜直下の斜面は,浅い谷がわずかに存在するだけの平坦(平滑)な斜面が広が拡がっています。
  • これは,記事欄に詳述した「周氷河作用」という風化作用の結果と考えられ,後立山連峰に共通する現象なのでしょう
鹿島槍ヶ岳(南峰)

この登山ルートは,現在の一般ルートを示しており,深田久弥の登山ルートとは異なります。
  • 深田久弥は,後立山連峰を縦走中に「鹿島槍ヶ岳」に登頂しました。
  • 本ページでは,黒四ダムへの入り口である「扇沢バス停」近くを登山口とする,鹿島槍ヶ岳(南峰)に最短で登頂できるルートをトレースしました。
  • 地形図上の標高差は1,539mですが,途中爺ヶ岳のアップダウンがあるので,実際は約2,090mの登りとなります。
  • 徒歩での距離は同様に約11.2kmとなり,健脚者でも約9時間は必要と思われ,途中1箇所か2箇所の小屋泊まりがベストでしょう。
【記事・引用情報と参考情報】

【記事】

  • 現存する日本の氷河は,以下の7箇所です(飯田,2020)。
    三ノ窓氷河 (剱岳), 小窓氷河 (剱岳), 池ノ谷氷河 (剱岳),御前沢氷河(立山),内蔵助谷氷河(立山),カクネ里氷河 (鹿島槍ヶ岳),唐松沢氷河 (唐松岳)
  • 山稜の西側斜面(周氷河作用): 氷期から現在まで,冬季に吹き付ける西風により,西側の斜面では雪が吹き飛ばされて積もりません。
    岩盤中の水が凍結・膨張することで岩屑化し,風の力も借りて移動するので,斜面は傾斜があるものの凸凹は平均化され「周氷河性平滑斜面」となります。
  • 山稜の東側斜面(氷食・雪食): 季節風の吹き溜まりとなって積雪が多くなります。
    過去の氷期においては,雪が凍ってできた氷河(状)の氷が下方に移動することによる氷食と運搬によって,斜面は急傾斜化しました。
    現在は,積雪のために凍結融解による周氷河作用は起きにくい代わりに,(雪田の)融雪水による侵食のほか,雪崩による侵食も考えられます。
  • アバランチ・シュート:「雪崩路」とも言う樋状の凹地形です。雪崩路の岩肌は,雪崩によってやすりをかけられたような「鏡面」状になります。
    ただし,雪崩は30~50ºの傾斜面でよく発生しますが,どの斜面でも発生するわけではありません

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】