千葉県:下総台地東端部の樹枝状水系(必縦谷)
地形の特徴

樹枝状水系,必縦谷,(洪積)台地,海成段丘(海岸段丘)

地形と地質の三次元イメージ(産総研・1/20万 シームレス地質図)
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

「下総台地」は,市川市~銚子市にかけて分布する,いわゆる「(洪積)台地」です。 下総台地のうち,旭市と銚子市の範囲を「東端部」として図化しました。
標高が概ね50m~60mの「下総台地・東端部」ですが,よく見ると平坦な台地に無数と言っても過言ではないほどの「谷」が入り込んでいます。
よく見ると,略南流して太平洋に注ぐ川は,「磯見川」くらいなもので,他の大部分の川は,略北流して「利根川」へと注ぎ込んでいます。
標高段彩図の三次元イメージ : 磯見川

「下総台地・東端部」で,珍しく南流する「磯見川」を取り上げます。
源流が「西側」にある支流の場合,その殆どの「源頭(分水界)」は,飯岡低地(平野)の「海食崖」の真上にあります。
本来の源頭はもっと東にあったのですが,太平洋の荒波で削られて,無くなってしまった,のでしょう。
更に,大地の隆起によって,「波食台」だったところが飯岡低地になった,と思われます。
標高段彩図の三次元イメージ : 利根川水系高田川

典型的な「樹枝状水系」を示している「高田川」の場合,「源頭」は飯岡低地に落ち込む「海食崖」の真上にあります。
南に向かえば,海まではわずかな距離なのですが,わざわざ北に向かって「利根川」に注いているのです。

「下総台地」だけの「標高段彩図」です。 南側(図下)の最高点は60mであるのに対し,北側(図上)は50m強となっています。
本図から,下総台地の東端部の場合,標高は「南高北低」の傾向を示していること,がわかります。
【記事・引用情報・参考情報】

【記事】

  • 「磯見川」の場合,西から流れてくる支流の殆どの「源頭」は,「海食崖」の直上部となっています。
    一方,利根川水系「高田川」では,一部の源頭が同じ特徴を持っています。
  • 遥か昔,飯岡低地(平野)が浅い海の底であった時代(離水する前),これらの海食崖の前面が当時の太平洋であったことは間違いありません。
  • そして,もっと広かった当時の下総台地は,太平洋の荒波によって大いに削られて後退し,現在の位置で固定されてしまった,と考えられます。
  • 注 「洪積台地(地形用語としては死語)」とは,第四紀更新世(約200万年前~約1万年前)に,主として海底などで堆積によって形成された平坦地が,隆起してできた台地です。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】