福島県・山形県:吾妻火山群の火山地形
地形の特徴

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地形と地質の三次元イメージ :
三次元地形図上でマウスクリックすると「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。

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  • 福島県と山形県の境界に位置する「吾妻火山群」は,東西23km強,南北12km強の範囲の中に10を超える火山が存在する複成火山群です。
  • 松本ほか(2018)の論文を参照すると,吾妻火山群を構成する主な火山の活動は,概ね下表のように纏められます。
  • 本図の中で最も古い火山は,前期チバニアン期に活動した「東大巓火山(ひがしだいてん)」と「中大巓火山」です。
  • 次いで,東列の「一切経火山」,西列の「西大巓火山・西吾妻火山」,中列の「中吾妻火山」とされています。
  • 一切経火山は,活動期間が最も長くも更新世・チバニアン期の間中活動していたようです。
  • その後,一切経火山の東側で「爆発的噴火」による「山体崩壊」が発生したとされています(松本ほか,2018)が,20万分の1シームレス地質図には反映されていません。
  • 最も新しい火山体は,山体崩壊の中で活動を開始した「浄土平火山」で,現在も活動が続いています。
    円錐形が特徴の「吾妻小富士」は浄土平火山の火口の一つです。
ゾーン 主 た る 活 動 年 代 層 序 火 山 名 (活動年代)
東 列 更新世・カラブリアン期 塩ノ川火山(120万年~100万年),高倉火山(90万年~70万年)
更新世・チバニアン期 一切経火山(52万年~17万年),東吾妻火山(15万年~12万年)
後 期 更 新 世 以 降 高山火山(8万年~3万年),浄土平火山(6.3千年~現世)
中 列 更新世・チバニアン期 東大巓火山(70万年~50万年),中吾妻火山(37万年~24万年)
西 列 更新世・チバニアン期 中大巓火山(70万年~50万年),西大巓火山・西吾妻火山(42万年~40万年)
地形の三次元イメージ : 吾妻火山群の西列と中列の火山群
  • 松本ほか(2018)によると,「西大巓火山」と「西吾妻火山」は同時期の活動とされ,「中大巓火山」と「東大巓火山」は別の同時期とされています。
  • 前者の活動期間は60万年前後,後者の活動期間は40万年前後なので,山体は開析・侵食が進み,角が取れた優しい山容を呈しています。
  • 西吾妻火山は,吾妻火山群の中で最も標高が高く,深田久弥が吾妻山の代表として登った山です。
地形の三次元イメージ : 吾妻火山群の東列の火山群
  • 「谷地平」はカルデラではなく,周囲の火山から流れ出た噴出物によって形成された窪地です。
  • 現在,湿地帯となっている部分があるように,かつては「谷地平湖」と称されるべき「天然堰止湖」となっていました。
  • ところが,「大倉川」の「谷頭侵食」が湖に達したことで,全ての湖水は流れ出しました。
  • 大倉川は大きな峡谷となっています。 湖水が流れ出したときの勢いで,大きく削られた可能性があります。
  • 「東吾妻火山」は,後期・チバニアン期に活動した,比較的新しい火山ですが,活動期間が約3万年と短いのが特徴です。
地形の三次元イメージ : 前期チバニアン期に活動した火山群
  • 「中大巓火山」と「東大巓火山」は,共に更新世・前期チバニアン期(約70万年~約50万年)に活動した,吾妻火山群の中では比較的古い火山です。
  • かなり大量の火成岩を噴出したようで,大きな尾根が存在します。
    角の取れた緩傾斜の尾根は,雨水などの侵食や風化によるもので,活動当時の火口はもっと標高が高かったろうと,想像しています。
  • 中大巓火山の西側と「東大巓火山の東側には大きな侵食谷が迫ってきています。
    火山の創造力にも驚かされますが,長い年月での侵食力にも驚かされますね。
地形の三次元イメージ : 山体崩壊(推定)地形と浄土平火山
  • 松本ほか(2018)によると,「一切経火山」の活動期間は52万年~17万年と,吾妻火山群の中でも群を抜いて長いのが特徴です。
  • 「五色沼」は火口に水が溜った「火口湖」で,一切経火山と同時期とされています。
  • 一切経火山の東側斜面は,「山体崩壊」により崩れたものだろうと,推測されています。
  • 「浄土平火山(F)」は,その崩壊カルデラ内に活動を開始した最も新しい火山体で,約7千年前から現在までの火山活動が続いています。
  • 最も大規模な噴火は,浄土平火山に含まれる「吾妻小富士火口」によるもので,約6千年~4.5千年と言われています。
  • 最も新しい火山活動は,1331年に噴火したとされている「大穴火口(E)」です。
地形の三次元イメージ : 浄土平火山からの溶岩流地形
  • 浄土平火山は,円錐形の火山体(火山錐:錐状火山)である「吾妻小富士火口」を形成する前に,大量の溶岩流を噴出しました。
  • 溶岩が流れる際に形成された「溶岩堤防」や「溶岩じわ」が,5mDEMデータできれいにで再現できています。
【現場写真】

月山と同様に,更新世に活動を終えた火山の尾根は,まるで楯状火山のように平坦化する,という見本のような山容です。。
吾妻山(西吾妻山)

この登山ルートは,深田久弥の登山ルートをほぼ再現しました。
  • 資料によると,深田久弥は白布・高湯温泉から山スキーを履いて「西吾妻山(2035m)」まで往復したようです。
  • 単純標高差は約930m,途中の下り坂を勘案すると約1,050mの登り,歩行距離は約7.0kmとなります。
  • 健脚者ならば3時間強の行程でしょうか。 もっとも現在は,中大巓の直下まで天元台スキー場のリフトが利用できるので,より手短に登頂できます。
【引用情報と参考情報】

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】