富山県:常時落差日本一の称名滝
地形の特徴

立山,称名川,弥陀ヶ原,火山地形,溶岩流,火砕流,段瀑,滝の後退,侵食地形

地形と地質の三次元イメージ(産総研・1/20万 シームレス地質図)
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

立山で最も人気のあるのはミクリガ池や地獄谷のある「室堂平」です。
その室堂平を源流域に持つのが「称名川」で,その川に常時水量のある滝として,落差日本一の「称名滝」が存在します。
室堂平とその下方に位置する「弥陀ヶ原」は,約10万年前の噴火で流出した「称名滝火砕流」と,その後の「二ノ谷溶岩」が堆積しています。
称名滝は,その火砕流と溶岩流を鋭く侵食していることがわかります。
地形の三次元イメージ : 称名滝

称名川は,立山火山が噴出した溶結凝灰岩を激しく侵食しつつ流れています。 中でも,典型的な侵食地形は,称名滝がもたらす「滝侵食(新称)」でしょう。
滝は「遷急点」の一つ,という説があります。 その説に従うと,滝の後退に伴って遷急点も後退することになります。
滝の前後で特徴的なのが,滝が通り過ぎた場所では,幅広で深い谷が形成される(削り出される),と言う点です。
何時とは言えませんが,このまま後退が続くと「ソーメン滝」はもちろん,室堂平も無くなってしまう,と思われます。

滝の部分を拡大表示した「標高段彩図」を作成してみました。
滝の途中に「凹地」があります。 滝の常識から言うと「滝壺」となりますが,もう少し考察してみることにしました。
標高データによる推定河床縦断図,記事

河床縦断図は,標高データあるいは10mDEMを利用して推定したものです。
現場検証などを行っていないため,確定的ではありません。目安とお考えください

【記事】

  • 国土地理院の標高データを利用して「河床縦断図」を作成しました。
  • 滝No.2の下流に,水深約20mの「滝壺(または凹地)」が存在します。
  • 何れも国土地理院から公開されている標高データに基づく値なので,より正確な諸元値が必要ならば,現地での詳細測量が必要です。

【河床縦断図の求め方】

  • 上左図の範囲に5mメッシュの計測点を設置しました。 東西方向の測点は150点としたので,直線距離は475mです。
    同様に,南北方向は50点としたので,水平距離は45mとなります。
  • 全てのメッシュの中心座標(緯度・経度)を計算し,国土地理院の「標高API」を利用して,全メッシュの標高を入手しました(計算は国土地理院)。
  • 全ての南北断面で,標高の最も低いメッシュを河床と仮定することにより,河床の水平位置を推定しました。
  • 床断面図に使用する水平距離は,メッシュ座標から計算しているので,水平距離の475mより長くなっています。
【地上写真】 称名滝(左)とネハンの滝(ハンノキ滝)

画像出典:(公社)とやま観光推進機構
常時水量のある「称名滝(左)」によって,称名川には高さ550mを超える断崖絶壁が形成されました。
ネハンの滝(ハンノキ滝:右)は,写真のように融雪期には大量の落水がありますが,夏を過ぎると殆ど水は無くなります。
必然的に,滝口より上流側の下刻侵食力は小さいため,この滝の落差は崖の高さとあまり変わらないのです。
【記事・引用情報・参考情報など】

【記事】

  • 「称名滝」の落差は約350m(国土地理院の標高データからは約330m),日本中に数多く存在する滝の中で,常に水がある滝の中で最も高い滝です。
  • その後,滝による侵食力で滝自体が後退すると共に,滝が通り過ぎた下流部分には,深くて傾斜の急な斜面を持つ谷が残されました。
  • 藤井・金子(1999)によると,この称名川の後退速度は約9cm/年なので,2万年後,称名滝は「ガキ田」の近くまで進むと思われます。
    そのあおりを受けた ネハンの滝は,源流部が無くなって消滅しているかもしれません
  • 河床縦断図を深読みすると,称名滝は上段と下段に分かれつつあって,後退速度は上段の方が下段よりも大きい,という印象を持ちました。
    上段は「完新世の火砕流」で,下段は「白亜紀の花崗閃緑岩」という地質(推定)の差が関係しているかもしれません。
    ただし,何れも印象であって確証ではありません

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

【参考】地形の三次元イメージ : 河川争奪予備軍

称名滝の後退に伴って形成された幅広のV字谷によって,すぐ近くを流れている「雑穀谷」が危機的状況となっているようです。
「①牛ノ首」と呼ばれる馬の背尾根は,滝の後退に伴って生じた地形ですが,称名川からの侵食が増せば,
雑穀谷の上流部からの水は称名川へと流れ込んでしまうでしょう。
同様のことが「②」でも起こるかもしれませんが,上流部が無いので,河川争奪とまでは行かないと思われます。