熊本県:金峰山と立田山の火山地形
地形の特徴

火山地形,新規断層変位地形,カルデラ

地形と地質の三次元イメージ : 金峰山(きんぽうざん)と立田山
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

「金峰山(きんぽうざん)」は,「カルデラ」を持つ複合火山です。よって,本来は「金峰山火山群」と呼ぶべきかもしれません。
今から約100万年前に,「独鈷山」や「万日山」などを含む広い範囲で,火山活動が始まりました。
この時に形成された火山が北西方向に「山体崩壊」を起こしたため,「カルデラ」が形成されました。 現在の外輪山です。
約50万年前頃,山体崩壊の場所付近で「熊ノ岳(二ノ岳)」と「三ノ岳」が噴火して,カルデラを封鎖したため「カルデラ湖」が生まれました。
カルデラ内部に湖成層である「芳野層」が存在することで,カルデラ湖の存在が確認されました。
地形の三次元イメージと現場写真 : 金峰山とその周辺の山々

「河内川」の侵食でカルデラ湖が消滅した後,今から約20万年前頃に中央火口丘である「金峰山」の活動が始まりました。 二つの「溶岩ドーム」です。
その後,今から10万年前頃に「阿蘇-4火砕流(Aso-4)」が押し寄せ,金峰山カルデラ内にも流れ込みました。
この時点では既に金峰山火山群の活動は終了していたようで,国が定めた「活火山」のグループには入っていません。

誰でも自由に入室できる「熊本市役所展望ロビー」ですが,本来は「熊本城」を眺める目的で解放されています。
しかし,「金峰山火山群」を観察するにもベストなところです。 なお,窓はガラス張りなので,本写真の空の部分に,ロビー内が少しだけ映っています)。
地形の三次元イメージ : 立田山

「立田山」は,火山活動の最も初期段階で形成されました。 「輝石安山岩」由来の「溶結凝灰岩」と思われます。
立田山の西側斜面は,西側沈降(落ち)の「立田山断層」による「断層崖」でしょう。
「坪井川」のあたりは,立田山に続く火山山麓でしたが,長い年月のうちに沈降したため,立田山は独立丘陵のようになりました。
【記事,引用情報と参考情報】

【記事】

  • 金峰山本体(溶岩ドーム)の火山岩は「デイサイト」である,という資料があります。
  • 産総研・地質調査総合センター発行の,1/20万シームレス地質図では,外輪山の火山岩は「玄武岩」とありますが,公開されている論文等では,「輝石安山岩」が多く使われています。 化学組成的に境界領域にある火山岩と思われます。
  • 「カルデラ」の形成は外輪山の形成後である,という資料も存在します。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】