長崎県:対馬,浅茅湾のリアス海岸
  (日本の地質案内:対馬を南北に二分する運河と万関橋)
地形と地質の特徴

リアス海岸,沈水海岸,溺れ谷

投稿者による写真とその説明:万関運河と浅茅湾

万関運河の上を国道382号線の万関橋が横断している。
橋の上から浅茅湾(西)側の北側斜面に,暗灰色をした古代三紀対州層群の砂岩頁岩のみごとな露頭を見ることができる。

【投稿者:大島 洋志氏】

  • 韓国と海を隔てること僅か50kmの地にある対馬は,古代から日本の防衛上重要な地位を占めており,防人が防衛する最前線の島であったようだ。対馬は島の中央部が見事なリアス式海岸をなしており,なんとなく二つの島に別れているようにも思えるが,もともとは一つの島であったようだ。
  • 対馬は,空港の北側にある二つの運河(水路)で分断されており,浅茅(あそう)湾を介して東西の海峡方向に横断出来るようになっている。
     一つは江戸時代からあったとされる「大船越」で,小さな漁船程度は通行可能な運河である。。
  • もう一つが万関(まんぜき)橋直下にある「万関運河」である。
    この運河は日本帝国海軍が日露戦争を想定して,浅茅湾内竹敷にあった海軍基地の小型艦艇が東側に直接通行可能なように1900年頃に開削されたものとされる。
    運河は延長300m,幅25m,水深3mで施工された(現在は幅40m,水深4.5mに改修)。
    実際,ここを第三艦隊の水雷艇隊は,対馬沖の日本海海戦に臨むために通過していったという。
地形と地質の三次元イメージ : 対馬全島[事務局作成]
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 地質図幅『厳原』(出典,下記)」を表示します。

対馬は上島と下島から構成されており,合わせると南北約82km,東西約18km,面積約700km2の細長い島です。
両島共,殆どが山地で,海岸には「海食崖」や「波蝕棚」が発達しています。
また,両島に挟まれた浅茅湾(あそうわん)は,典型的な「リアス海岸」です。
「島山島」は,昔の尾根筋がそのまま残っているいわゆる「骸骨島」です。 これは内海のため,波による侵食力が弱かったからです。
注:浅茅湾が沈水した原因が「大地の沈降」なのか,「海水準の上昇」なのか,現時点でよくわかりません。
地形の三次元イメージ : 浅茅湾(あそうわん)北部

「浅茅湾(あそうわん)」は,教科書に載るほどの「リアス海岸」です。
一説によると,準平原状態にあった上島と下島(北部)の中間に,海水が侵入してきたため(海進:沈水),とされています。
地形の三次元イメージ : 浅茅湾(あそうわん)南部

大船越瀬戸(おおふなとせと): 1671年(寛文12年)開通。 現在は,漁港となっているため,一般の船舶は使用しないようです。
万関瀬戸(まんぜきせと): 1900年(明治33年)開通。 当時の緒元は,長さ約500m,幅約25m,水深約3m。
日露戦争の日本海(対馬沖)海戦で,実際に使用されました。 現在は,幅40m,水深4.5mとなっています。
【記事,引用情報と参考情報】

【記事】

  • 対馬の大部分は,古第三紀の漸新世後期(約3000万年前)から新第三期の中新世後期(約1000万年前)にかけて,海底で堆積した「対州層群」と呼ばれている堆積岩で構成されています。
  • 対州層群は,連続的に堆積した厚い地層で,その厚さは5400mにも達しており, 大別して下部層・中部層・上部層の3層に区分されます。
    ・下部層(層厚約2400m):下島の「佐須川」流域を中心として分布しています。 地質は,泥岩が主体で所々砂岩が混じっています。
    ・中部層(層厚約1600m):女連(うなつら)から浅茅湾(あそうわん)の湾奥部地域を含む広い範囲に分布しています。
      泥岩が主体で,砂岩・泥岩の互層や砂岩層を挟んでいます。 砂岩層には化石漣痕や,堆積直後に地層内に生じたスランプ構造が散見されます。
    ・上部層(層厚約1400m):上島の「長崎鼻半島」を中心として分布しています。 地質は,下位が泥岩,上位が砂岩で,中間は互層状態のようです。
  • 対馬全体では,対州層群を貫いて出現した「花崗岩」や「玄武岩」が散見されます(花崗岩:下島・瀬川流域,玄武岩:上島・千俵蒔山)。

【引用情報】

【参考情報】

  • 参考図書:そしえて文庫98,地図の風景 九州Ⅰ 福岡・佐賀・長崎,pp.186-189.,そしえて刊,1981年6月20日
  • 環境省・九州地方環境事務所 > 対馬野生生物保護センター > とらやまの森 第10号 3ページ(2000年10月1日)

【お断り】

  • 本ページは,旧GUPIのウェブサイト「地質情報ポータルサイト」で公開されていた「日本の地質案内:対馬を南北に二分する運河と万関橋」と「日本の地形千景プラス:対馬,浅茅湾のリアス海岸」を統合し,事務局が「三次元地形図」,「三次元地質図」や若干の記事などを追加したものです。