高知県:四万十川支流中筋川の背水性地形と自然堤防
地形の特徴

背水現象,バックウォーター,自然堤防,氾濫原,後背低地,後背湿地

地形と地水地形分類図の三次元イメージ : 四万十川支流,中筋川流域
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。国土地理院の「治水地形分類図(出典,下記)」を表示します。

「四万十川」の支流「中筋川」は,「中筋地溝帯」と呼ばれる低地を流れています。  その流域の特徴は,以下のようにまとめられます。
① 川の流れが非常に緩やか(超緩流性)であること。 ② 谷底平野の標高を見ると,本流との合流点付近よりも,上流部に最低部が存在すること。
①と②から導き出されることは,中筋川下流の「谷底平野」は,四万十川本流の「後背低地」であって,本流の水位が上昇した時には,
必ず「中筋川に背水(バックウォーター現象)による洪水が発生」すると思われます。 十分な注意が必用です。
地形の三次元イメージ : 中筋川の旧河道

現在,「中筋川」にはほぼ全て「堤防」が整備されており,本図の範囲を除くと,耕地整理等により旧河道を追跡することはできないようです。
人工堤防が建設されていない「古中筋川(旧河道)」は,かなりの「自由蛇行」をしていたことがわかります。
「滑走斜面(斜面と言う程のものはありませんが)」側には「自然堤防」ができやすいのですが,圃場整備によって,
ごく一部を除いて自然堤防を見つけ出すことはほぼ不可能となりました。
【記事,引用情報と参考情報】

【記事】

  • 四国の南部の地質は,「四万十帯(累層)」と呼ばれる「付加帯」で構成されています。
    四万十帯は関東地方から九州地方を経て沖縄本島まで分布するという,超巨大な構造体です。
    四万十帯は,中生代後期白亜紀の「北帯」と,新生代古第三紀暁新世の「南帯」に分けられますが,「中筋地溝帯」がその境界に当たっています。
  • 「籠瀬(1973)」は,「中筋川」に「背水性(バックウォーター現象)」による洪水の発生を指摘しました。
    バックウォーター現象による洪水は,実は毎年のように発生しているのですが,最近まであまり注目されなかった,という印象があります

【引用情報】

【参考情報】

  • 参考図書:そしえて文庫97,地図の風景 四国 徳島・香川・愛媛・高知,pp.176-179.,そしえて刊,1982年3月10日
  • 瀬 良明: 四万十川下流地域の自然堤防,地理学評論,第46巻,第11号,pp.731-740,1973年

【お断り】