東京都:九品仏川と轟渓谷(矢沢川)の河川争奪
地形の特徴

河川争奪,暗渠化,渓谷

案内用三次元イメージ : 世田谷区等々力駅付近

「呑川」の支流である「九品仏川」は,緩傾斜の河床勾配を持つ「谷底平野」を形成していましたが,
現在は都市化の波に飲み込まれ,河道の全てが暗渠化してしまいました。
地形図からは,九品仏川を確認することはできませんが,標高値からは,連続した浅い凹地帯として,かつての九品仏川の気配を知ることができます。
地形の三次元イメージ : 古地形図

世田谷区野毛に生まれた「矢沢川」は,近くの武蔵野台地に対する「谷頭侵食」を行った結果,ほぼ直線状の「等々力渓谷」を形成しました。
遷急部には「不動滝」が懸かっています。
台地の上端に達した後も侵食力は衰えず,それまで「呑川」に注ぎ込んでいた「九品仏川」の上流部を奪ってしまいました。
その後も,古九品仏川(上流部)への下刻侵食を続けた結果,現在では中町付近まで渓谷化が進んでいます。
【記事,引用情報と参考情報】

【記事】

  • 矢沢川と九品仏川の「河川争奪」について,本ページでは「矢沢川の谷頭が九品仏川に達したため,その上流部を奪った。」という説に準じています。
  • しかし,「江戸時代,矢沢川の上流部を開削して九品仏川に繋いだ。」という人工説も存在するため,最終的な決着はついていないようです。

【引用情報】

【参考情報】

  • 参考図書:そしえて文庫85,地図の風景 関東Ⅰ 東京・神奈川,pp.57-61.,そしえて刊,1980年7月10日

【お断り】