山形県:月山の山体崩壊地形
地形の特徴

火山地形,山体崩壊,岩屑なだれ,地すべり地形,地すべり性凹地,日本百名山

地形と地質の三次元イメージ : 月山(全景)と馬蹄形カルデラ
三次元地形図上でマウスクリックすると「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。

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  • 「月山」は,新生代第四紀前期更新世後半(約90万年)~同中期更新世(約30万年)にかけて活動した火山なので,活火山ではありません。
  • 古くは「楯状火山」に分類されていましたが,現在では,水蒸気爆発による山体崩壊によって山頂が消滅した「複合(成層とも)火山」に分類されています。
  • 山体崩壊後の月山山頂は極めてなだらかで,かつ積雪が多いことから,氷期においては「氷帽」とそれによる「氷河」が存在したと考えられています。
  • 月山山頂の西北方向に開いている地形は,月山の火山活動の最後に発生した,巨大な「水蒸気爆発」によると考えられている「馬蹄形カルデラ」です。
  • この水蒸気爆発によって生成された膨大な「岩屑」は,山頂から北西方向に約20kmも流れ下り,「笹川岩屑なだれ堆積物(Q3_v_ad)」と呼ばれています。
  • 一方,20万分の1シームレス地質図には,「品倉山尾根」の南側にも「岩屑なだれ堆積物(Q3_v_ad)」が記載されています。
    この品倉山尾根より南斜面に分布する岩屑なだれ堆積物は,お互いの位置関係から馬蹄形カルデラが起源である,とは考えにくいのではないでしょうか。
  • 姥ヶ岳北側の谷頂部が崩壊(山体崩壊)して岩屑なだれが発生した,という仮説を立てましたが,このことに言及した公開資料にたどり着けていません。
  • なお,シームレス地質図に記載されている 岩屑なだれ堆積物(Q3_v_ad) は,後期更新世での岩屑なだれ堆積物が全てまとめて記載されています。
       従って,後期更新世の間であれば,全く別の岩屑なだれが発生したとしても,同じ堆積物として表記されているのです。
地形と地質の三次元イメージ : 月山山頂の馬蹄形カルデラ
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  • 月山の火山活動の最終段階で,水蒸気爆発による山体崩壊が発生し,火口そのものが崩壊してしまって 「馬蹄形カルデラ(A)」が形成されました。
  • この山体崩壊によって,「笹川岩屑流」と呼ばれる「岩屑なだれ」が発生しました。
  • 岩屑なだれの材料は固結していないために,随所で地すべりが発生しました。 注 典型的な地すべり地形にはラベルを張り付けてあります。
地形と地質の三次元イメージ : 月山の山体崩壊と笹川岩屑なだれ堆積物
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  • 「笹川岩屑なだれ」の末端部は,山頂から北西方向に約20kmにも達しました。 現在の鶴岡市街地のすぐそばになります(地形図の範囲外)。
  • 「京田川」の左岸(地形図では右側)に拡がる笹川岩屑なだれには,「流れ山らしき小さな凸部」が随所に存在します。
  • この地形が本当に流れ山なのか,以前からの凸部(いわゆる丘)なのか,についての情報はありません。 要検討事項でしょう。
地形の三次元イメージ : 岩屑なだれ地形と地すべり地形を利用して建設された天保堰
  • 「笹川岩屑なだれ」の核心部には,「天保堰」という水路が開削されています。
    もっとも,天保年間に開削されたのは,「田麦川」の再取水口からの下流部分で,明治以後になって「濁沢」まで延長されました
  • 天保堰は,地すべりでできた「滑落崖」の直下を通しています。 水平がとり易かったのでしょうが,古い地すべりで安定していると判断したのでしょうね。
  • 「長坊山」の下は「隧道」になっています。 天保年間に掘削するだけの技術があったことになりますね。
    この隧道の真ん中付近の地質がどうなっているのか,-岩屑なだれ堆積物なのか,それとも山体崩壊以前の地質なのか-が気になる所です。
地形と地質の三次元イメージ : 山腹の侵食地形
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  • 「山体崩壊」を免れた東斜面の約8合目より山頂にかけては,池塘群もあって実になだらかな形をしています。
  • しかし,そのすぐ下には「侵食崖」に加えて「谷頭(ガリー)群」が迫ってきています。
  • 「立谷沢川」の枝谷である「にごり沢」には数多くの「砂防堰堤」が建設されており,土砂崩れの激しさを物語っています。
  • 地質年代的に見た場合,「比較的短時間」に月山は谷に占領されてしまって,低い山へと変貌してしまうのでしようか。
【現場写真】

山形県・宮城県境の面白山付近からの月山です。 10月中旬の撮影ですが,山頂左側に2箇所,大雪代(残雪)が見えています。
月山

この登山ルートは,深田久弥の登山ルートを一部再現しました。
  • 深田久弥は,六合目から歩き始めたそうですが,現在八合目まで自動車道が開通し,その間の徒歩ルートは地形図から抹消されました。
  • 従って,本ページでは「八合目(1385m)」→「弥陀ヶ原」→「佛生池小屋」→「月山(1984m)」をトレースしました。
  • 下山ルートは,「月光坂」を下って「湯殿山神社」を経由したらしい,との情報があります。
  • 標高差は約610m,歩行距離約5.2kmなので,健脚者ならば約2時間で月山山頂,でしょうか。
【引用情報と参考情報】

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】